ごあいさつ

三重大学医学部附属病院のホームページをご訪問いただき、誠にありがとうございます。また、日頃より当院へのご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
令和7年4月に病院長に就任いたしました佐久間でございます。私は三重大学医学部を卒業後、放射線科医として三重大学に勤務してまいりましたが、これまでお世話になった三重大学と三重県の皆様のために、全力で病院長職に取り組む所存です。どうかよろしくお願い申し上げます。
当院の歴史は、明治9(1876年)に三重県医学校兼治療所が現在の三重県警付近に設置されたことに端を発します。昭和19年(1944年)には三重県立医学専門学校の附属病院となり、昨年80周年を迎えました。昭和47年(1972年)に国立移管され、翌年現在の津市江戸橋に移転。2012年(平成24年)に新入院病棟、2015年(平成27年)に新外来棟が開院し、現在に至っています。
当院の理念は、「信頼と安心が得られる地域医療の拠点として、未来を拓く診療・研究を推進し、人間性豊かな優れた医療人を育成すること」です。県内唯一の特定機能病院として、県民の皆様が遠方の医療機関へ行かずとも国内最先端の医療を安全に受けられるよう、地域の医療の砦としての機能をさらに高めてまいります。
当院は高度な医療提供のための環境整備にも力を入れております。ロボット支援下手術においては、昨年、ロボットアームが一本で患者さんへの侵襲が少なく、体の奥深くまで手術が可能な「ダビンチSP」を導入し、がんの種類に応じた最適なロボット手術が実現できる「ダビンチ」3台体制で手術を行っています。放射線治療分野では、高精度放射線治療(IMRT)の件数が全国の国立大学病院の中で1位となっておりますが(週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院2024」)、令和7年4月には従来の1軸だけでなく2軸方向の回転によって多方向から集中的に腫瘍へ治療用X線を照射し、正常組織へのダメージを最小限に抑える新世代の放射線治療装置(ORAY)が稼働致します。また、腫瘍の位置や形状の変化を装置内蔵の高画質CTで捉え、AI(人工知能)による最適な放射線治療計画を即時作成できる最新の即時適応放射線治療装置(ETHOS Therapy HyperSight)が令和8年前半に稼働する予定です。
三重大学医学部附属病院は、都道府県がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、がんゲノム医療拠点病院に指定されております。人口の高齢化に伴い、循環器疾患や脳神経疾患など複数の疾患を併せ持つがん患者さんが増加し、がん治療専門診療科のみならず病院全体の診療科による総合的な医療提供力が問われています。令和4年に創設した「総合がん治療センター」をさらに拡充し、三重県における「がんセンター」としての総合力を強化してまいります。
県内の医師の地域偏在や診療科偏在の問題は、当院の地域貢献における最重点の課題となっています。また、当院は高度医療を提供する三次医療機関としての役割に加え、二次医療圏の「市民病院」として救急医療にも重要な役割を果たしております。令和4年には、関係病院・三重県・市町村・医師会・看護協会・薬剤師会等と「みえの未来医療会議」を組織しました。この組織による連携を基盤とし、医師の地域偏在や診療科偏在、救急医療体制の課題に取り組んでまいります。
当院では、国立大学病院の中で最も早く電子処方箋を導入し、PHR(パーソナルヘルスレコード)の利活用を推進するなど、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組んでおります。今後は、紹介状のFAX送受信やCT・MRIのディスクメディアの持参をオンライン化し、外来診療スマホアプリを活用した受診効率化を進め、「待ち時間の少ない病院」を目指します。また、人口減少が急速に進む時代において地域医療を維持・発展させるためには、医療DXの活用が不可欠です。三重大学では「三重医療DXプロジェクト」として、県全体への医療DX展開を推進してまいります。
急速に変化する時代のニーズにしっかり応えられるよう、教職員一同努力してまいりますので、皆様のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。