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ごあいさつ

病院長 伊佐地秀司

令和2(2020)年度を当院の立場から振り返りますと、新型コロナウイルス感染症への対応と、皆様に大変ご迷惑とご心配をおかけした臨床麻酔部事件とその関連事案が大きな出来事としてあげられます。この2つのことは、医療に携わる者として最も大切なことである「医療人としての使命」を再認識する機会でもありました。当院の基本理念、すなわち「本院は、信頼と安心が得られる地域医療の拠点として、未来を拓く診療・研究を推進し、人間性豊かな優れた医療人を育成します。」を、改めて全ての職員が意識し、医療人としての使命をしっかり果たしていく必要があります。そこで、ご挨拶をかねて、当院の信頼回復に向けた取り組みと決意を述べさせて頂きます。

 

 <臨床麻酔部事件・関連事案とその対策>

臨床麻酔部で起こった事件は、(1)元准教授が実際には使っていない薬剤を患者に投与したかのようにカルテを改ざんし、診療報酬を不正請求した事件(公電磁的記録不正作出・同供用罪と詐欺罪で起訴、元教授も詐欺罪で起訴)、(2)元教授が薬剤(カルテ改ざんした薬剤)を積極的に使う見返りに、製薬会社側から賄賂として奨学寄付金を大学に振り込ませたとされる事件(第三者供賄罪で起訴)、(3)元教授が医療機器の調達をめぐって自身が代表を務める法人の口座に医療機器メーカー側から現金を振り込ませたとされる事件(第三者供賄罪で起訴、元講師も同罪で起訴)となります。臨床麻酔部では、この事件に関連して昨年の11月末までに元教授、元准教授、元講師の3人を含めて12人が退職し、全身麻酔に携わる麻酔科医は4名となりました。また、昨年10月に、日本専門医機構から、三重大学医学部附属病院麻酔科専門医研修プログラムの一時停止の連絡がありました。

再発防止に向けた対策としては、中央手術部体制の改善(中央手術部長と臨床麻酔部長の兼任禁止)、手術部薬剤管理体制の改善(薬剤使用ダブルチェックの仕組み導入)、麻酔記録・手術室情報システムの改善(薬剤修正者情報の適正表示など)、内部通報窓口の増設(医療安全・倫理ポストを1か所から6か所)、コンプライアンス意識の醸成(腐敗・汚職防止のための基礎研修の実施)、奨学寄附金受入れ時の誓約書提出義務化、保険診療・診療報酬に対する教育の徹底などを行なっています。

臨床麻酔部の体制(令和3年3月現在)については、全身麻酔に関わる常勤の麻酔科医は4名(指導医2名、標榜医1名、専攻医1名)で、毎週2日間(木、金)は非常勤の麻酔指導医が1名の状態です。そこで、外科系診療科から臨床麻酔部へのローテーター医師(朝の術前麻酔検討会から臨床麻酔部勤務)の派遣をお願いしています。週単位ローテーターは7名で、1日単位のローテーターは5名(月〜金各1名)となっています。ローテーターを含めて麻酔担当医が配置できない場合は、各診療科で必ず麻酔維持管理のための医師を配置することとしました。これにより、常時、手術の列以上の麻酔専従医師を確保しており、いわゆる「並列麻酔」は行われていません。4月からは麻酔管理パッケージの特定行為研修を受けた看護師3名が臨床麻酔部で業務を開始しています。また5月からは、他大学から麻酔指導医1名の常勤医派遣が得られる予定です。現在は、通常時の15%程度の手術制限で診療を行なっていますが、今後も安全第一を基本に診療を行います。

なお、一時停止になった麻酔科専門医研修プログラムですが、現在は県内の他のプログラム基幹病院にお願いし連携病院の手続きを行い、麻酔科専門医研修が当院でも行える体制となっています。

 <本院が目指す組織像>

今回の事件を受けて、私は病院長として、三重大学医学部附属病院が目指す組織像を新たにしました。

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医療人の使命「悩める患者さんを前にして、自分たちに何ができるかを問う」を中心軸に、本院が目指すもの「倫理・安全文化の醸成、救命救急・先端医療の推進、地域医療への貢献」を共有し、これを囲むように病院執行部、科長会メンバー、全職員がフラットな集合体となり、「開かれた・活力ある・学習する組織」を形成することです。

 

令和3年4月7日
三重大学病院医学部附属病院 病院長 伊佐地秀司