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ごあいさつ

病院長 伊佐地秀司

令和2年1月から始まった世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大は、私たちの社会を一変させました。医療界への影響は計り知れないものがあり、本院もその例外ではありません。また、本院独自の重大な懸案として、同時期に発覚した臨床麻酔部事件では、皆様に大変ご迷惑とご心配をおかけいたしました。
この2つのことは、医療に携わる者として最も大切なことである「医療人としての使命」を再認識する機会でもありました。ここにご挨拶を兼ね、本院の状況をお知らせするとともに、信頼回復に向けた取り組みと決意、さらに新型コロナウイルス感染症への対応について述べさせていただきます。

 

<本院の現状>

本院の歴史は、明治9年に三重県医学校兼治療所が安濃郡塔世村(現在の津市栄町)に設置されたことに端を発します。その後約100年、様々な歴史を経て、昭和48年の国立移管により三重大学医学部附属病院となり、平成24年1月には屋上ヘリポートを備えた新病院が開院いたしました。
本院は三重県唯一の特定機能病院であり、三重県の医療における「最後の砦」として県民、市民のみなさまの期待に応えられる医療の提供に努めています。本院の救命救急センターは、三次救急(重症・重篤患者に対する救急医療)を担い、厚生労働省の「救命救急センター充実段階評価」では、平成31年~令和元年度、および令和2年度と連続して最も高い「S」評価を受けています。
また、本院はがん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、がんゲノム医療拠点病院というがん医療に関わる主要な指定を同時に受ける全国でも数少ない医療機関です。国立のがんセンターがない三重県において、三重大学医学部附属病院がんセンターを開設し、県下の病院とのネットワーク構築などを通じ、地域のがん医療の体制整備を推進しています。その他、幅広い医療ニーズに対応するため診療科やセンターを増設し、高度かつ全人的な医療の提供を目指しております。
教育・研究の推進も大学附属病院の使命です。県内の基幹病院をはじめとする多くの医療機関にこれまで545名(平成31年1月1日現在)の医師派遣を行うなど、人材育成や医師不足地域での医療の確保をはじめとした地域医療の充実に貢献するべく尽力してきました。

<臨床麻酔部事件に係る再発防止策>

臨床麻酔部事件につきましては、様々な面からの検証に基づき再発防止策を策定し、すでに導入を完了しております。内部体制の見直し、麻酔記録・手術室情報システムの改善、内部通報窓口の増設、コンプライアンス意識醸成に向けた研修の導入、奨学寄附金受入れ時の誓約書提出義務化、保険診療・診療報酬に対する教育の徹底などを通じ、不正やミスの発生リスクを可能な限り排除していきます。
また、臨床麻酔部の体制についても徐々に立て直しが進んできており、引き続き安全を第一とした診療を進めてまいります。

 <新型コロナウイルス感染症への取り組み>

本院は、昨年4〜5月の緊急事態宣言時(第1波)から、県内の重症感染者の治療に対応するため、救命救急・総合集中治療センターにあるHCU(高度治療室)の一部を人工呼吸器管理が必要な重症患者用とし、さらに重症患者の回復期ケアのために一般病棟に新型コロナ専用病棟を確保しました。その後、第4波となる本年4〜5月には、重症用並びに軽症~中等症用のベッドを増床するとともに、手術制限を行い医師、看護師、メディカルスタッフからなる専門対策チームを立ち上げて対処しました。
第5波(本年8〜9月)では、感染者急増により三重県の医療体制が想像を絶する事態となり、当院も9月1日から、新規入院患者の受け入れを停止するなど、第4波以上の体制をいち早く整えました。一般病棟や外来に絶対に感染を持ち込まないよう対策を取りながら、全国的に見てもかなり危機的状況にあった三重県の感染者医療を支えるべく病院をあげて対応を行いました。
なお、文部科学省の施設整備費補助金を用いて、新型コロナウイルス感染症など感染症患者を院外で診療しトリアージができる施設の建設を進めており、「感染症危機管理センター」として本年11月末から運用する予定です。

<本院が目指す組織像>

臨床麻酔部事件、新型コロナウイルス感染症への対応の経験から、私は病院長として、本院が目指す組織像を図のように描いています。

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医療人の使命「悩める患者さんを前にして、自分たちに何ができるかを問う」を中心軸に、本院が目指す「倫理・安全文化の醸成、救命救急・先端医療の推進、地域医療への貢献」を共有し、これを囲むように病院執行部、科長会メンバー、全職員がフラットな集合体となり、「開かれた・活力ある・学習する組織」を形成するというものです。こうした組織を通じて、三重県の医療における本院の重要な役割を全うするべく進んでまいりたいと思います。

 

令和3(2021)年10月
三重大学病院医学部附属病院 病院長 伊佐地秀司