ごあいさつ

池田智明

このたび、三重大学医学部附属病院の病院長に就任いたしました池田智明と申します。以下、ご挨拶を兼ねて、本院についてご紹介いたします。

本院は、1876年(明治9年)に三重県医学校兼治療所が、安濃郡塔世村(現在の津市栄町)に設置されたことに端を発します。戦時中の1944年(昭和19年)、三重県立医学専門学校の設立に合わせて同附属病院となりました。この時点から数えて、もうすぐ80年目となります。その後、1972年(昭和47年)には県立大学医学部から国立移管、翌年に現在の場所(津市江戸橋)に移転いたしました。2012年(平成24年)1月に、屋上にヘリポートを備えた12回建ての新病棟が稼働し、2015年(平成27年)5月に新外来・診療棟が開院し、さらに2018年(平成30年)3月に駐車場・外構工事も終了して、ここに新しい本院が完成しました。

本院は、厚生労働省が指定した全国87病院のうち、三重県で唯一の「特定機能病院」です。1)人間性豊かな優れた医師や医療者の育成、2)最先端の医療や医療技術の開発、そして3)「最後の砦」となる重症患者さんに対する医療を展開しております。一昨年からの新型コロナウイルス感染症では、三重県で発生した約60パーセントの重傷者を受け入れ、人工呼吸療法やECMO療法(人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療)を施行してきました。三重大学病院は、一般病床655床、精神科病床30床、救急救命センター集中治療室(ICU)8床、病棟ICU 6床、高度治療室10床、新生児集中治療室12床、母体胎児集中治療室6床を有しており、高度急性期・急性期医療を中心に行っています。年間約1万8千人の入院患者さん、約33万人の外来患者さんを受け入れています。手術室は15室あり、年間約7000件の手術を行っています。

がん診療は、最近、オーダーメイド医療が進んできています。すなわち、個人の遺伝子やがん組織の遺伝子を調べ、それぞれの患者さんにとって最適な治療法を、がん専門医が決定しています。また、術後の痛みが少ない低侵襲の手術を行うために、本院は内視鏡手術支援ロボット「ダビンチ」サージカルシステムを2台備え、毎日施行しています。さらに、最新の薬物療法を導入した外来化学療法室も完備しています。社会的や経済的な問題にも対応できるように、「がん相談支援センター」がありますので、ご相談ください。

その他の高度先端医療として、循環器病に対する経カテーテル動脈弁留置術(TAVI)、経皮的僧帽弁クリップ術MitraClip、脳卒中のカテーテル治療、人工関節手術のナビゲーションシステムによる治療など、各診療科はわが国の第一線の診療を展開しています。

2022年4月からは、麻酔科診療も新体制となり、安全な手術や集中治療を行えるようになりました。患者さんの安全ファーストの診療を行っております。今後、安心・安全で、新しい時代のニーズに応えられるような病院となるよう、努力してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。