当院の河俣あゆみ小児・AYAトータルケアセンター副センター長・小児看護専門看護師が第20回SGH看護特別賞を受賞しました

三重大学病院小児・AYAトータルケアセンターの河俣あゆみ副センター長が、第20回SGH看護特別賞を受賞しました。

この賞は、がん看護研究者及び医療従事者の励みとなることを目的として、顕著な業績があり、今後の発展が期待されるがん看護に関する先駆的な研究並びに実践を行っている方に贈られるものです。

「最期は家族と一緒に自宅で過ごしたい」、そんな子どもと家族の希望を叶えるべく、小児がんの終末期に大学病院から自宅訪問医療を始めたのが本センター発起の契機となりました。2013年、小児トータルケアセンターは小児に特化したセンターとして設置されました。当時は所属施設からの訪問診療・訪問看護を実施している大学病院は皆無であることや、成人と異なり小児の地域包括ケアシステムがないことから、子どもが居住する地域の基幹病院や在宅支援診療所、訪問看護ステーション、調剤薬局、学校等と積極的に連携を図り、調整することで在宅生活を支援するとともに、訪問診療や看護を担う医療職への研修、小児在宅研究会等を開催し、相談機能や教育的支援を継続することで連携システムを構築してきました。2021年に小児・AYAがんトータルケアセンターに改名され、小児全般およびAYAがんに関する活動へと拡大しています。小児からAYA世代のがんの治療では、進学、就職、結婚、妊娠・出産などのライフイベントを含む人生を前提として、患者の人生観に基づいた多様なサポートが求められます。小児看護専門看護師及び大学教員等のキャリアを生かしながら、看護実践や研究活動、教育的支援、多職種・多機関とのコーディネートを担い、小児看護専門看護師の役割である高度実践・相談・調整・倫理調整・教育の機能を活用して、がん終末期の子どもと家族の峻烈なトータルペインの緩和や、治療や療養に関する意思決定支援、グリーフケアを、病棟や外来、地域の医療者と協働して切れ目のないケアを提供すべくセンタースタッフと共に横断的な活動を行うとともに、医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士などの多職種や、地域の医療機関、行政、保健、福祉、教育機関などとの連携し包括的に支援できるように活動しています。さらに研究についてはこの10年間、臨床現場の看護師が主体的に研究できることを支援し、研究結果を子どもや家族およびスタッフに還元する「研究と実践の連関」を重視して継続的に取り組んでいます。

河俣 あゆみ
所属:三重大学医学部附属病院「小児・AYAがんトータルケアセンター」副センター長・看護師長・小児看護専門看護師
研究テーマ:小児期および思春期・若年成人(AYA世代)のがん患者さんを対象とした、他職種および地域多機関と連携した包括的サポートの実践と支援拠点づくり