当院における不正事案について

令和2年9月14日

三重大学医学部附属病院長
伊佐地 秀司


 この度、当院におきまして、医師の不正による診療報酬不正請求に関する事案が発生いたしました。患者さまとそのご家族の皆さま、県民の皆さま、関係者の皆さまには、多大なご心配とご迷惑をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。


(本件の概要)

 本院の医師1名が診療録の記録を複数回にわたり不正に改ざんし、実際には全身麻酔手術で投与されていない薬剤の費用が診療報酬として不適切に請求されていました。
 改ざんの疑いがある件数は2018年4月~2020年3月の期間の症例数約2,200症例、これに対する不正が疑われるランジオール塩酸塩(以下、「当該薬剤」という。)の請求総額は2,800万円超となっています。
 なお、本事案では、患者さまに対して不必要な薬剤の投与や治療が行われた事実は一切なく、患者さまに健康被害が発生することはございません。


(本件の経緯)

 令和元年12月頃、当院の複数の医療従事者が診療録に改ざんされている箇所があることに気づき、診療録を管理する医療情報部の医師に調査を求めたところ、当該薬剤の使用履歴が追加入力されている症例が複数あることが分かり、本年3月末に当院にその旨が報告されました。
 第三者調査委員会の調査の結果、当該薬剤を実際には手術中に投与していないにもかかわらず投与したような虚偽記載がなされ、診療報酬の不正請求が疑われる事案があることが判明いたしました。また、虚偽記載を行っていたのは当院の医師1名により行われたことが判明しています。


(今後の対応および再発防止について)

 この度の事案を深刻かつ真摯に受け止め、大学及び病院教職員一丸となって再発防止に努め、信頼回復に向け誠心誠意努力してまいります。特に、第三者調査委員会からご指摘のあったガバナンスについて、コンプライアンス教育の徹底、情報セキュリティやシステムの厳格化などを通じて、コンプライアンスが隅々まで常に徹底されるよう強化を早急に進めてまいります。


 また、当該医師につきましては、厳正かつ適正に対処してまいります。本事案に関し捜査機関による捜査が行われる場合には全面的に協力する所存です。


 この度は、患者さま、ご家族をはじめ、多くの皆さまに大変ご迷惑をおかけいたしました。重ねて深くお詫び申し上げます。