三重大学医学部附属病院において発生したガーゼ遺残事故と再発防止について

平成29年1月25日

三重大学医学部附属病院において発生したガーゼ遺残事故と再発防止について


                             
三重大学医学部附属病院
病院長  伊藤正明
医療安全担当 副病院長 兼児敏浩

 三重大学医学部附属病院において行われた手術に際して、使用したガーゼを体内に残すという医療事故が発生しました。患者さんご本人ならびにご家族に対し多大なご迷惑とご心配をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。再発防止策を取りまとめ、患者さんから許可を得ましたので、プライバシーに配慮の上、その経緯を公表いたします。
 この事態を真摯に受け止め、医療の安全確保に最善を尽くし、再発防止に全職員が一丸となって、取り組む所存でございます。
事例の経緯
 平成28年9月に腹部の手術を受けた県内在住の男性患者さんに平成29年1月に経過観察目的のPET-CT検査を施行いたしましたところ、異物の残存が強く疑われたため、3日後に摘出術を実施いたしました。摘出した異物はガーゼであることが判明いたしました。患者さん・ご家族には速やかにすべてをご説明の上、謝罪いたしました。摘出術後の経過は良好です。また、第3者機関である日本医療機能評価機構にも報告いたしました。
原因と再発防止策
 本院においては、手術におけるガーゼの体内遺残を防止するために以下の方法で確認を行ってまいりました。
①体腔閉鎖前、及び、閉鎖後に使用したガーゼと回収したガーゼの枚数が一致していることを確認する。
②ガーゼはX線不透過の銅線が織り込まれたガーゼを使用し、手術終了時にはレントゲン撮影を行い、異物が体内に遺残していないことを確認する。
 平成28年9月に行われた原因となった手術においても、①、②はともに実施され、手術終了時にはともに問題がないことが確認されていました。しかしながら、結果としてガーゼ遺残が発生しましたことは、①、②のいずれも十分に機能していなかったことが考えられます。そこで、今回の事故を踏まえ、医療安全・感染管理部を中心に慎重に検討を重ねました。再発防止のために以下の手順を遵守することといたします。

【ガーゼカウント】

  • 使用するガーゼは種類ごとに1枚ずつ離して数える。
  • 器械出し看護師は、外回り看護師に術野で使用するガーゼの種類と枚数を報告する。
  • 摘出された組織標本に、ガーゼがついていないか確認する
  • カウントはチームメンバー全員で手を止めて確認する。
  • カウントを行ったことを記録に残す。
  • 最終カウントの結果は、執刀医、器械出し看護師、外回り看護師の三者で合致したことを記録し、責任の所在を明らかにする。
  • カウントの時期は、体腔閉鎖前、体腔閉鎖後とする。

【X線撮影】

  • 複数の医師で、術野がすべて撮影範囲にはいっているか、異物が残存していないかを確認する。

 いま一度、患者さん、ご家族にお詫び申し上げるとともに、再発防止策を徹底することをお誓いいたします。


問い合わせ先
   三重大学医学部附属病院総務課長 059―231―5043 (平日9:00~17:00)