西日本医学生学術フォーラム2018参加レポ―ト



2018年12月15日(土)に西日本医学生学術フォーラム2018にて学生サポーターの活動をポスター発表してきました。西日本医学生学術フォーラムは、西日本の医学部に所属する医学部学生が自身の日頃の研究成果を口演発表・ポスター発表する場です。今回は、合計10大学50名以上の学生が参加しました。
本年度は、三重県で開催されたということもあり、研究ではありませんが、学生サポーターの活動を『三重大学・鈴鹿医療科学大学合同「慢性疼痛チーム医療者養成プログラム」における学生の自主的課外活動の効果検討』というテーマで発表させていただきました。
以下に発表した内容の詳細をレポートします。

フォーラム概要
実施日:2018年12月15日(土)
実施場所:三重県医師会館
フォーラム内容:
・口演発表:合計8演題
・基調講演:岡山大学教授 西堀正洋先生「一基礎研究者から医学生諸君に伝えたいこと」
・ポスター発表:26演題
・学生企画&交流会

ポスター内容

「慢性疼痛チーム医療者養成プログラム」における学生の自主的課外活動の効果検討

背景

発表したポスター

近年、慢性疼痛が社会的に大きな関心を集めている。2016 年の国民生活調査では、人口の約20% が慢性疼痛を有しているとされる。

本プロジェクトは、第1学年次に合同の遠隔授業にて座学で知識を深め、第2学年次には夏に3日間のワークショップに参加してより実践的な知識を深めることを目的としている。過去2 年間実施し、ワークショップ終了後のアンケート結果からは高評価を得ている。

慢性疼痛の治療にあたっては、病態を器質的要因、精神心理的など多角的に分析・治療していくことが求めれる。しかし、わが国においては諸外国に比べ多職種連携による医療体制が遅れている。そこで、三重大学と鈴鹿医療科学大学は2大学が連携して、文部科学省・課題解決型高度医療人材養成プログラムに採択された「慢性疼痛医療者育成プログラム」にて「慢性疼痛」及び「多職種連携」教育を推進している。

しかし、第2学年でプロジェクトが終了するため、本プロジェクトで構築した多職種関係のネットワークの継続性が課題である。よって、本プロジェクトに参加した2大学の学生が主体となり、定期的に慢性疼痛や多職種連携に関する講演会 の企画・運営やインタビュー活動(以下:本活動)を実施し、理解の推進や継続的な交流を図っている。

今回は、学生主体の活動に関するアンケート調査を勉強会に参加した2大学の学生に実施し、活動の成果や課題を検討したためその内容を報告する。また本活動自体の紹介も行う。

調査方法

・Google フォームにて、本活動に参加した学生にアンケートを依頼
・募集期間:2018 年11 月8日~ 11 月30 日

調査結果(回答数25件)

⑪本活動について、コメント(良い点、要望、課題)があれば自由に記述してください。

・一回の活動では、その場限りの人間関係にしかならないのかなと思いました。他職種連携がうまく進まない理由は色々あると思う(責任問題とか、仕事量など)ので、なるべく多く盛り込んだプログラムになったらいいのかなと思いました。
・慢性疼痛に限らず、幸せな人生を送るために医療がどう関わっていけるかに興味があって参加しています。
・新しい人間関係は構築できましたが物理的な距離が遠いためなかなか定期的に会うなどがしにくいのが難点です。
・他の大学の人、医療関係に進む人で他の分野に携わる人に関わることだけでも意味のある会だと思う。
・もっと他の学生に興味をもってもらうような工夫をして、活動が広げられるといいと思う。
・他分野と交わる良い機会となっただけに、受けた刺激が一過性に終わるのは残念だ。学問的なフォローアップの余地があるのではないか。

考察

アンケート調査から、本活動を通して多くの学生の「多職種連携及び慢性疼痛」についての理解を深めることができたことがわかった。一方で、大学間のカリキュラムの違いや物理的な距離のため、継続的に参加することが難しいと感じている学生が多いこともわかった。

アンケート調査を通して、勉強会や講演会活動に関して好意的な学生は多いことがわかったため、今後はより継続的に活動ができるような工夫をすることで本活動を発展させていきたい。

尚、多職種連携教育は多くの医学部で実践されているが、学生が主体となって多職種連携について学ぶ例は、奈良医科大学の学生が主体となる「奈良の将来の医療と介護をつくる多職種学生の集い事業」などしかなく、まだまだ数は少ない。

特に「慢性疼痛治療のための多職種連携」をテーマとした他大学間の交流は他に例がなく、本活動は社会的に意義があると言える。

学生時代から、卒後まで見据えたシームレスな多職種連携実現に向けて、三重大学と鈴鹿医療科学大学の学生が協力して活動を継続していきたい。

参加後の感想

ポスター発表の様子

◆今後もより活動を活発化させ、後輩たちに繋げていきたい
他大学の皆様にも、教職員・学生を問わず多くのご関心、並びに高い評価を頂き、この活動の意義を深く感じた。

多くの大学でも、1年次に他学部・他学科との合同授業を実施しているようだったが、専門教育が始まってからの学部・学科を超えた活動を行っている場所はほとんどなかった。

将来チームを組んでチーム医療にあたっていく仲間が、どのような内容の学習をしてきたのかのバックグラウンドを把握しておくことは、チームの運営にあたって非常に重要な要素といえる。

さらに本活動では、「慢性疼痛」という、今後医療者が向き合っていくことになる非常に大きな課題に焦点を当て、様々な医療系学科の学生たちが、各々の専攻の目線からどのようにこの問題を考えているかを知ることができるとても有意義な活動であり、今後もより活動を活発化させ、後輩たちに繋げていきたい。

学生サポーター 毛利

◆学生主体で自主的に活動している点を評価していただけた
今回、他大学の先生方や学生に活動報告をさせていただいたが、「とても良い活動なので引き続き継続してほしい」など概ね私たちの活動評価に好意的な意見を頂いた。

他大学でも、多職種連携に関する講義はあるようだが、医学科・看護学科合同など学科数が限られており、私たちのように薬学科・理学療法学科・鍼灸学科など多岐にわたる医療系学科が合同で学ぶ機会はないようである。

先生方には、学生サポーターが自主的に集まって活動している点を評価していただけた。一方で、在学中に留まらず卒後も見据えて活動を継続してほしいというアドバイスもいただいた。

考察で述べたように、大学が異なるため容易に集まって活動することは難しいが、知恵を凝らしながら引き続き活動を継続していきたい。今後も機会があれば、今回のような場で学生サポーターの活動をアピールしていきたい。

学生サポーター 宇都宮

謝辞

ご多忙にも関わらずポスター発表に関するご指導いただいた先生方、またアンケートに回答してくれた鈴鹿医療科学大学、三重大学の学生に心より御礼申し上げます。

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