横地 歩「慢性疼痛・運動器疼痛の風景 新しい経験としての慢性疼痛」

慢性疼痛についてのエッセーをと言われたのですが、つぶやきました。

【慢性疼痛、運動器疼痛;個人的な思いで付ける、丸とバツ】※「当方の思う」答えを、末尾に示します。

1.慢性疼痛は、けっこう、天候、体調、気分に影響されます。

2.慢性疼痛では、おそらく、夜間安眠が大切です。

3.苦悶表情がない慢性疼痛の患者さんは、おおむね、うそつきです。

4.運動器疼痛や慢性疼痛に鎮痛剤を用いる際の考え方は、癌性疼痛と同一です。

5.せん妄は、身体状況の変調で起こる、一時的な脳機能の変調です。

6.睡眠薬は、時に、転倒や、物忘れの原因になります。

7.お薬の濃度や使用頻度が下がるときの、お薬の“作用”も、重要です。

8.不安は、ある程度増えると、増えやすくなります。

9.身体症状と精神症状が、相互作用して、オオゴトになることがあります。

【新しい経験としての慢性疼痛】

ある日、慢性疼痛に出会いました。急性疼痛とは、どこか、違うのです(以前、であった慢性疼痛とも、毛色が違うようです)。乗り越えるには、それまでの、人生経験が、あまり役に立たないかもしれません。

いろいろ、今までの方法を試して、でも、全然うまくいかないのです。なにか厚い壁に四方を囲まれ、手も足も出ない状態です。打ちのめされて疲労困憊状態です。

ペインクリニック外来に来られる患者さんは、こんなパターンかもしれません。

外来では、いろいろ工夫して、この状態からの脱却を図ります。壁を解消させるのが難しい場合、つまり難治性の痛みの場合、痛みを完全に解消するというよりは、むしろ、痛いなりに、ストレスが下がるように手を貸す感じになります。

結果的に痛みが零になるのは、大歓迎ですが、その前に、前段階として、疲労困憊状態からの脱却という、より現実的な目標があるわけです。

例えば、壁の外から声をかけたり、踏み台や、梯子など、道具をわたしたりします。しかし、この道具が、また、初めて使うものだったりして…。 続く…

 

※1○、2○、3×、4×(相違があります。癌性疼痛の知識が普及してきたことで、慢性疼痛の患者さんの肩身がせまくなっている側面も。)、

5○、6○、7○、8○(自尊心に対する脅威も、数が増えると、自己増殖するようです。)、9○

 

よこち あゆむ

三重大学附属病院 麻酔科講師、外来副科長、医師 専門:麻酔学、ペインクリニック

1992年▶三重大学医学部卒業 1994~現在▶三重大学麻酔科ペインクリニック外来勤務

1994~2002年▶三重大学大学院 1998~2002年▶厚生連松阪中央総合病院麻酔科勤務

2010年▶医学博士 2015年~▶日本認知・行動療法学会に参加し、発表

2019年▶附属病院痛みセンター副センター長(併任)