りんきゃりブログ

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第2回研修医CPCが開催されました

研修医1年目の松井です。

1118日に、研修医CPCが開催されました。

症例提示の研修医は2年目藤井先生、1年目植島先生で、症例指導医は消化器肝臓内科の山本先生、病理指導医は広川先生でした。症例は「再発を繰り返した肝細胞癌の一例」でした。

 

CPCclinicopathological conference)とは、一般的には臨床病理検討会と訳されます。ご遺族の承諾を得て、不幸にして亡くなられた患者さんを病理解剖(剖検)し、その結果と臨床経過を比較・対比する討論会です。第一義的には死因の究明、或いは臨床診断との対比(若しくは確認)が目的ですが、他にも治療効果の判定や病態解明のための研究など様々な意義を持ちます。更に、全身臓器の臨床所見及び解剖結果を対比し、統合する過程を経験するという教育的意義もあり、現在の臨床研修制度において、初期研修医はCPCで症例提示し、レポートを作成することが必須となっています。

 

本日のCPCでも活発な議論が行われました。肝細胞癌に伴う門脈塞栓症によって門脈圧が亢進し、腹水貯留が認められた症例ですが、その塞栓は血栓なのか腫瘍塞栓なのかという質問が会場から挙がりました。臨床サイドからはCTHA(肝動脈造影下CT)にて濃染する塞栓が提示され、肝細胞癌のhypervascularityを示唆する所見であり、腫瘍塞栓の可能性が高いが、血栓が同時に存在している可能性も否定はできないという回答でした。次に病理サイドが実際に解剖して検鏡し、腫瘍塞栓であったことを明らかにしました。

また穿刺した腹水の性状は淡血性でしたが、どこから出血しているのかという質問も挙がりました。明らかな肝細胞癌破裂は認められないものの、腹膜播種とみられる病変に出血が認められ、それが淡血性腹水の原因となったのではないかと病理サイドから回答がありました。

このように、CPCは臨床所見と病理解剖結果を対比しながら、亡くなった患者さんの病態を明らかにしていきます。勿論、病理解剖は万能ではなく、解剖すれば全てが白日の下に晒されるという訳ではありません。その限界を意識しながら、臨床サイドと病理サイド、双方の要求を理解しながら病態解明に努めることが、より良いCPCを作り上げていくことに繋がると考えます。私自身も病理志望ですが、この2年間で臨床医の観点を理解し、将来的に臨床サイドの要求に応えられるように努力したいと思います。最後に、ラテン語の格言をひとつ紹介して、今回のブログ記事を締めたいと思います。

 

Mortui Vivos Docent. –屍は師なり。

 

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