スキルズラボ

スキルズラボの概要

スキルズラボロゴマークMit

スキルズラボとは別名クリニカルシミュレーションラボとも称されるように医学生、研修医、専攻医などが採血、血管確保、気管挿管や縫合、結紮、胸腔、腹腔ドレナージなどの基本的なプライマリーケア手技から上部・下部の消化管内視鏡や超音波検査機器のトレーニング、さらに腹腔鏡、胸腔鏡、関節鏡などより高度で専門性の高い医療技術、特殊な手術手技について、簡単な模型からコンピューターやバーチャルリアリティを駆使したシミュレーター機器を用いて、その概念の理解や手技の習得を目的とした技術研修センターであります。これにとどまらず、特殊な病態(例:心肺停止などの原因となる心不全や不整脈)下における診断、治療の実践や、治療方針決定に至る迅速な意思決定などを想定されたケースシナリオを通じ、生理的・病的な生体反応を再現可能な等身大の人形とそれを制御するコンピューターを用いた教育や訓練も目的としています。

スキルズラボの様子

技術的に十分習熟する前の段階にある医学生や研修医が、実際の臨床現場で医療機器や患者様のお体をお借りして、見よう見まねで技術の伝承を受ける形でトレーニングを行ってきたのが一昔前の臨床教育でした。しかしながら臨床現場の医療機器を教育・訓練目的に使用する点でリスクの問題やコスト的に高価すぎたり、生身の患者様にとって正に非常に危険であるという理由から、軍事や航空・船舶技術教練に行われていた教育手法を医学教育にも取り入れたものと推察されます。この場合、安全な仮想環境で意味の有る訓練が行われるだけでなく、現実なら患者の生命に関わるような技術的失敗をしても許容される点は重要で、十分な試行時間と回数を費やしてラーニングカーブを描いて後に自信を持って患者様に対して処置を行うことができるようになると考えられます。

医学部は将来医師となることを目標とする医学生を教育・養成する学校なのですから、中心静脈カテーテル挿入を含む血管確保、気管確保、心肺蘇生手技、超音波診断技術などのプライマリーケア手技については、当然卒業する時点までにその治療目的や原理を理解するのみならず、その手技についてもすぐに実践応用が可能な段階まで習熟していることが望ましいと考えております。さらに卒後教育においてはそれらのシミュレーター機器やスキルズラボを利用したセミナーなどを通じてより高度な専門技術を初期研修の段階からマスターし、さらに専門性の高いSkillful surgeonやskillful physicianを目指して頂きたいと考えております。

初期研修センター長 山本 憲彦