RI(核医学)検査とは

核医学とはごく微量の放射性同位元素(アイソトープ)を目印としてつけた医薬品を用い、 病気の診断や治療をする医学の専門分野です。 アイソトープで目印をつけた薬を体内に投与すると、 特定の臓器や組織に取り込みます。 これを「ガンマカメラ」や「PET(ペット)」と呼ばれる特別なカメラで測定し、 その分布を画像にします。 安全に、苦痛もなく、身体の各部分の働きや化学的変化を画像にすることができます。 また、アイソトープは診断のほか治療にも応用され、甲状腺機能亢進症や甲状腺がんの治療などに用いられています。

主なRI検査について

・骨シンチグラフィ

骨シンチは乳がん、前立腺がん、肺がん等の悪性腫瘍の骨転移の診断に有用です。 また、骨の代謝亢進に対しても非常に感度が高く、病巣を検出することができます。

・脳血流シンチグラフィ

脳血管の障害により引き起こされる脳の虚血状態を早期に検出することができます。 また、脳梗塞に陥った部位の広がりの判定にも利用されます。 アルツハイマー病などの認知症の診断にも有用な検査です。

・心筋血流シンチグラフィ

心臓の筋肉に酸素・栄養を供給する冠動脈が狭窄すると、心筋は虚血状態になったり、心筋梗塞に陥ります。 これらの病態判定にこの検査は非常に有用です。 通常、運動負荷を行ってからアイソトープを注射し、検査を行います。 また、3時間後に2回目の撮影を行って、虚血・梗塞の判定を行います。

心筋の壁運動

・PET-CT

腫瘍組織は一般的に増殖、代謝を盛んに行っており、そのために多くのフドウ糖を取り込む性質があります。 放射性のフッ素で標識したFDG(ブドウ糖類似物質)を注射すると、腫瘍部位に取り込まれるので腫瘍の有無、広がり、 転移巣の検索に非常に有用です。 CTとの併用によりPET画像とCT像を重ね合わせて診断をしますので、精度良く調べることが可能です。

PETとCTの重ね合わせ画像

PET画像

Q&A

Q1:核医学検査はどのような手順で行われますか?

A1:基本的には、検査の予約→検査に必要な準備→検査の実施→検査結果のお知らせの順で行われます。 放射性医薬品の有効期限は極めて短いため、検査予定日の朝に病院に届いた薬を、その日のうちに使わなければなりません。 多くの場合が静脈から注射しますが、カプセルを飲んでいただいたり、ガスを吸入していただくこともあります。 検査の性質上、目的の臓器に薬が集まるまで、1~3時間待っていただいたり、朝の絶食、 服用中の薬の一時中止などが必要な場合もあります。 検査は、専用ベッドに静かに横になっている間に行われることが一般的です。 待ち時間を含めて2~3時間で終了する検査が多いのですが、注射をして1日または2~3日後にもう一度来院が必要な検査もあります。 核医学の専門医が診断いたしますので、検査結果の説明が後日になります。

Q2:CT、MRI、超音波などの検査とどう違うのですか?

A2:画像を使って病気を診断する検査には、核医学検査のほかにCT、MRI、超音波などの検査があり、 それぞれに特徴があります。検査は、治療の方法を決めるためと治療の効果を確かめるための二つの目的で行われますが、 核医学検査は、おもに臓器の働き具合(機能)を調べます。 CTやMRIや超音波検査は、形(位置)や大きさを調べます。 必要な検査を組み合わせて行うことで、具合の悪い部分の機能やその形、大きさが分かります。 その結果、治療の方針を決めたり、効果的な治療が行われているかを判断したりすることができるのです。 核医学検査は、放射性医薬品がどのような速さで、どこに、どれだけ集まってくるかを調べることで、病気の状態を、 形の異常が現れる前に診断できます。

Q3:核医学検査で副作用はありませんか?

A3:放射性医薬品による副作用はごくまれで、最近の5年間の調査で、10万人あたりに1.3~2.7人と非常に少ないのが特徴です。 2005年度の副作用調査((社)日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射性医薬品安全性専門委員会)によりますと、 放射性医薬品の投与件数は126万人に対して、19件の報告がありました。 副作用の程度は、非重篤が19件となっており、 重篤なものはありませんでした。 また、副作用の内容は血管迷走神経反応7件、アレルギー10件、その他2件で、症状としては、 顔面紅潮、悪心、吐気、めまい、気分不良、皮膚発赤、発疹、そう痒感、脱力感、動悸、発汗などでした。 検査用の放射性医薬品に含まれるアイソトープの量はわずかですから、放射線影響の点から見ても心配はありません。 投与されるアイソトープの種類や量は、放射線治療の成績や広島、長崎の被爆者のデータ、 動物実験の結果などから国際放射線防護委員会の詳細な検討に基づいて、 患者さんの利益ができるだけ大きくなるように決められます。

詳しくは

公益社団法人日本アイソトープ協会核医学検査Q&A
http://www.jrias.or.jp/pet/cat3/601.html