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みんなのリレーブログ

私と緩和ケア

リレーブログをお読みの皆さま、初めまして。三重大学医学部附属病院で産婦人科医として働いている栗山と言います。
2022年6月から11月の半年間を緩和ケアチームに参加していました。

さる2022年2月末、急に体調を崩してさらに入院しました。それまで元気だった頃には全く気づかなかった病院内の緩い坂や手すりや、置いてある椅子に助けられました。当事者にならないとその辛さが分からない、と言われるのも納得できる経験でした。
ちなみに現在の私は一番元気に働いていた時よりは控えめにしつつも、仕事をできるようになっています。

緩和ケアチームでは入院中の方々の対応や、緩和ケア外来もしていたので、入院と外来とでいろいろな方からお話しを聞きました。
今は産婦人科として外来を週一回行っています。治療や日常生活で心配なこと、不安に思っていることをこれまで以上に話してもらえるようになったと感じています。私にまだ緩和ケアチームの雰囲気が残っているのかなとも思いますし、皆さんが抱えている心配や不安を敏感に察知できるようになったのかなとも考えています。

医師としては「患者さんに元気になってほしい!」と思いながら仕事をしています。「頑張ります」とか「調子いいですよ」と聞くのはとても嬉しいことです。でも「聞きたいことがあるな」「心配なことがあるな」とも考えておられることを、以前までの私は知らなかったのだと感じました。
当事者にならないと辛い気持ちは分からない、というのは主に当事者ではない人は辛いことがある事実を知らないことで起こるのではないでしょうか。
一緒に治療をしていく相方としてまず、その人がどう感じて考えているかを聞いて、知ることで治療に並走できると思います。

幸いなことに私の入院は一時的なもので、体力は(年齢的にも…)落ちましたが仕事を再開しています。当事者にならないと分からない辛さがあることは入院生活で体感し、緩和ケアチームで活動することで「あなたが辛い」と「知る」ことでも辛い症状や気持ちの援助ができると知りました。
これからもたくさんの人たちに関わりながら生活し、仕事を続けていきます。困ったり悩んだりしている人を見つけて手助けできるように、自分の中のセンサーを日々鍛えていきたいと思っています。

数年前に訪れた三千院の境内にいたたくさんのお地蔵さんのなかの一体です。可愛らしいなかにもちょっとありがたさを感じたのですが、それはお地蔵さんが黙って私の気持ちを聞き、悩みを知ってくれるからなのかな、とも思いました。

三重大学医学部附属病院 産婦人科 栗山萌子

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