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たか子の部屋

このコラムは緩和ケアチーム医師のつぶやきの場所です。臨床現場で出会った素敵なエピソードを紹介したり、日々の緩和ケアの実践で気づいたこと、考えたことをつづります。

チーム医療~緩和ケアを専門にする医者って何するの?

緩和ケアを実践するにあたり「チーム医療」は常にテーマとなります。この「チーム医療」について考えてみたいと思います。

時々「緩和ケアを専門にする医者って何するひとなの?」と質問されます。緩和ケア病棟という専門の場所・施設を持たない大学病院において緩和ケア医が存在することに驚く患者さんや家族さんが(場合によっては医療従事者でも)結構いらっしゃいます。

診断を受けた際の衝撃・気持ちのつらさへのサポート、治療中やその後に生じる種々の症状の緩和、治療や療養先に関する意思決定支援などに診療のエネルギーを費やしています。がん治療が終了している状況ではない場面がほとんどです。

痛みが強く食欲も落ちて抗がん治療を続けていく体力が維持できなくなっている・・、そのような患者さんに関らせてもらうことがあります。鎮痛剤の調整を行い症状が緩和されると、自然に体力が回復し治療と向き合う気力が回復していきます。そのような過程に伴走させてもらうことは、病院緩和ケアチームの医師にとって何より嬉しく感じることです。

症状緩和は医師一人の処方により成立するのではないと強く思っています。私は医師ですから、痛みの原因の評価や診断を行い適切な痛み治療を行う立場なのですが、よりより痛みの緩和は、医療やケアの実践にあたる医療チームメンバーのちからが集まることによってできることなのです。患者のすぐそばにいる看護師から教えてもらう「●●な時には痛みが楽そう」などといった生活と痛みの関係は、痛み治療のための評価や対応の選択にとても重要な情報です。また痛みが引き起こしている苦痛やつらさをキャッチし応対してくれます。鎮痛剤も非常に多く複雑になりましたし、抗がん治療に使用する薬剤との相互作用も考えないといけません。薬剤師は、多種多様な薬剤の薬理や効能・効果を熟知し患者の視点に立って情報提供してくれますし、医療用麻薬の誤解を解いてくれます。

書き切れないくらいたくさんの方から教えてもらう患者さんの情報が、痛みの治療戦略に不可欠なものだなと思います。一職種が詳しく見ることやできることは限られています。様々な医療の専門職が関わる過程でしか見えてこない患者さんの望む生活・治療があります。そして、その実現のためには一職種だけではなく各専門職がそれぞれの専門職が特色を活かして関わることが大切だと思っています。

秋空に飛行機雲

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