医薬品等受託研究審査委員会(IRB)

委員会規程

三重大学医学部附属病院医薬品等受託研究審査委員会規程

(趣旨)
第1条 この規程は,三重大学医学部附属病院における医薬品等の受託研究に関する取扱規程(以下「取扱規程」という。)第4条第2項及び三重大学医学部附属病院における医師主導型治験に関する取扱規程(以下「医師主導型治験取扱規程」という。)第4条第2項の規定に基づき,三重大学医学部附属病院医薬品等受託研究審査委員会(以下「治験審査委員会」という。)について,その運営に関する手続き及び記録の保存方法等に関し必要な事項を定めるものとする。

(適用範囲)
第2条 この規程は,医薬品,医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の製造(販売)承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
2 製造業者等が,治験若しくは使用成績調査の成績に関する検討を行った結果得られた推定等を検証し,又は診察においては得られない品質,有効性及び安全性に関する情報を収集するため,当該医薬品等について医薬品医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)第14条及び第19条の2の承認に係る用法,用量,効能及び効果に従い行う試験を行う場合には,この規程中「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と読み替えて適用するものとする。
3 International Conference on Harmonization – Good Clinical Practice(ICH-GCP)に準じた臨床研究を行う場合には,この規程中「治験」とあるのは「臨床研究」と読み替えて適用するものとする。

(治験審査委員会の責務)
第3条 治験審査委員会は,取扱規程第2条及び医師主導型治験取扱規程第2条に定める「治験実施の原則」に従って,全ての被験者の人権,安全及び福祉を保護すると共に,治験の科学的な質を確保しなければならない。
2 治験審査委員会は,社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には,特に注意を払わなければならない。
3 治験審査委員会は.倫理的,科学的及び医学的妥当性の観点から治験の実施及び継続等について審査を行わなければならない。

(治験審査委員会の組織)
第4条 治験審査委員会は,病院長が指名する次の各号に掲げる委員(男女両性)で組織する。
(1) 三重大学医学部附属病院並びに三重大学大学院医学系研究科及び医学部の職員で,医学,歯学,薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者(以下「専門委員」という。) 3名以上
(2) 三重大学医学部附属病院並びに三重大学大学院医学系研究科及び医学部の職員で,前号に該当しない者(以下「非専門委員」という。) 1名以上
(3) 三重大学医学部附属病院及び治験審査委員会の設置者(病院長)と利害関係を有しない者(以下「外部委員」という。) 1名以上
2 前項の委員の数は,非専門委員及び外部委員の数を増やす等により,委員構成を適正な割合に保つことを考慮する。

(委員の任期等)
第5条 専門委員の任期は2年,非専門委員及び外部委員の任期は1年とし,再任を妨げない。ただし,委員に欠員が生じたときの後任の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
2 委員は,三重大学医学部附属病院における臨床研究に係わる利益相反マネジメント規程(以下「利益相反マネジメント規程」という。)に基づき,当該就任時及び毎年において,COI自己申告書を提出しなければならない。

(委員長の選出等)
第6条 治験審査委員会に委員長を置き,委員長は専門委員の中から病院長が指名する。
2 委員長は,委員会を招集し,その議長となる。
3 委員長に事故があるとき又は委員長が審議及び採決に参加できない場合は,委員長があらかじめ指名する委員がその職務を代行する。

(治験審査委員会の開催及び成立要件等)
第7条 治験審査委員会は,原則として,月1回開催するものとする。ただし,被験者の安全又は治験の実施に悪影響を及ぼす等,病院長から緊急に意見を求められた場合で委員長が必要と認めたときは,随時開催することができるものとする。
2 治験審査委員会の開催にあたっては,あらかじめ委員長名で,原則として7日前までに文書で各委員に通知するものとする。
3 治験審査委員会は,委員の過半数が出席し、かつ、5名以上の委員の出席をもって成立する。ただし,非専門委員及び外部委員は各1名以上の出席を必要とするものとする。
4 採決にあたっては,出席委員のうち,審議に参加した委員のみが採決への参加を許されるものとし,審議に参加した委員全員の合意により決するものとする。
5 当該治験の治験依頼者と関係のある委員(当該治験の依頼者及び開発業務受託機関の役員又は職員,自ら治験を実施する者の上司又は部下,自ら治験を実施する者に対して治験薬等を提供した者と密接な関係を有する者及び利益相反委員会より指摘された委員)及び当該治験責任医師と関係のある委員(治験分担医師及び治験協力者)は,その関与する治験について情報を提供することはできるが,当該治験に関する事項の審議及び採決には参加できないものとする。
6 審議結果に基づく判定は,次の各号に掲げるいずれかによる。
(1) 承認
(2) 修正の上で承認
(3) 却下
(4) 既承認事項の取り消し
(5) 保留
7 治験審査委員会は,被験者に対して直接の臨床的利益が期待できない非治療的な内容の治験であって,被験者の同意を得ることが困難な者を対象とすることが予測される治験について承認する場合には,かかる被験者の参加を承認する旨を承認文書に記載するものとする。
8 治験審査委員会は緊急状況下における救命的な内容の治験において,被験者による事前の同意を得ることが不可能で,かつ,被験者の代諾者と連絡がとれない場合にも治験が行われることが予測される治験について承認する場合には,かかる場合に,治験責任医師等が速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して説明した経緯と結果を治験審査委員会に報告する旨を承認文書に記載するものとする。
9 治験審査委員会の決定に基づき,治験審査結果通知書(取扱規程書式5及び医師主導型治験取扱規程(医)書式5)が病院長より治験責任医師及び治験依頼者に通知された後,その通知の内容に対して治験責任医師及び治験依頼者から異議申立書(取扱規程本院書式1)が病院長に提出された場合には,治験審査委員会において再審議することができる。

(委員以外の者の出席)
第8条 治験審査委員会は,当該治験責任医師を出席させ,当該治験の実施等に関し必要な事項を説明させ得るものとする。
2 委員会が必要と認めたときは,委員以外の者を出席させ,その意見又は説明を聴くことができる。

(治験審査委員会の業務等)
第9条 治験審査委員会は,その責務の遂行のため,次に掲げる最新の資料を病院長等から入手するものとする。
(1) 治験実施計画書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの)
(2) 症例報告書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの。ただし,治験実施計画書において記載事項が十分に読み取れる場合は不要)
(3) 説明文書・同意文書(治験責任医師が治験依頼者の協力を得て作成したもの)
(4) 被験者の募集手順(広告等)に関する資料(募集する場合)
(5) 治験薬又は治験機器概要書(ただし,製造販売後臨床試験にあっては,当該試験薬又は試験機器に関する最新のインタビューフォーム,添付文書,製品パンフレット等)
(6) 被験者の安全等に係わる報告
(7) 治験の費用の負担について(被験者への支払(支払がある場合)に関する資料)
(8) 被験者の健康被害に対する補償に関する資料
(9) 治験責任医師の履歴書及び治験分担医師の氏名リスト
(10) 治験の現況の概要に関する資料(継続審査等の場合)
(11) 治験の利益相反に関する審査結果
(12) その他治験審査委員会が必要と認めた資料
2 治験審査委員会は,治験を実施することの倫理的,科学的及び医学的見地から妥当性について,次に掲げる事項について調査及び審議し,記録を作成すること。(治験実施中の実施計画書及び説明文書等の改訂された場合を含む。)
(1) 医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ,かつ,緊急時に必要な措置を採ることができる等,当該治験を適切に実施できることについて
(2) 治験責任医師等が当該治験を実施する上で適格であるか否かを最新の履歴書等により検討することについて
(3) 治験の目的,計画及び実施が妥当なものであることについて
(4) 被験者の同意を得るに際しての説明文書・同意文書の内容が適切であることについて
(5) 被験者の同意を得る方法が適切であることについて
(6) 被験者への健康被害に対する補償の内容が適切であることについて
(7) 被験者に対する支払いがある場合には,その内容・方法が適切であることについて
(8) 被験者の募集手順(広告等)がある場合には,募集の方法が適切であることについて
(9) 被験者の同意取得が困難な場合,非治療的な治験,緊急状況下における救命的治験及び被験者が同意文書等を読めない場合にあっては,医薬品の臨床試験の実施の基準に示された内容が説明又は遵守されていることについて
3 治験審査委員会は,治験の実施期間中又は終了時(契約期限の到来日を含む。)には,次に掲げる事項について調査及び審議し,記録を作成すること。
(1) 被験者の同意が適切に得られていることについて
(2) 被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱又は変更の妥当性について
(3) 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更の妥当性について
(4) 治験の実施中に三重大学医学部附属病院で発生した重篤な副作用及び不具合について検討し,当該治験の継続の可否について
(5) 被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な新たな情報について検討し,当該治験の継続の可否について
(6) 治験の終了,治験の中止又は中断及び開発の中止についての確認について
4 治験審査委員会は,治験責任医師に対して治験審査委員会が治験の実施を承認し,これに基づく病院長の指示・決定を治験審査結果通知書(取扱規程書式5及び医師主導型治験取扱規程(医)書式5)で通知される前に被験者を治験に参加させないように求めるものとする。
5 治験審査委員会は,実施期間中の各治験について,少なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。なお,必要に応じて治験の実施状況について調査し,病院長に意見を治験審査結果通知書(取扱規程書式5及び医師主導型治験取扱規程(医)書式5)で通知するものとする。
6 治験審査委員会は,審議及び採決に参加した委員名簿(各委員の資格及び職名を含む。)に関する記録及び審議記録を作成し保存するものとする。
7 治験審査委員会は,審議終了後,速やかに病院長に,治験審査結果通知書(取扱規程書式5及び医師主導型治験取扱規程(医)書式5)により報告するものとする。治験審査結果通知書(取扱規程書式5及び医師主導型治験取扱規程(医)書式5)には,次の各号に掲げる事項を記載するものとする。
(1) 治験に関する委員会の決定
(2) 決定の理由
(3) 修正条件がある場合は,その条件
(4) 治験審査委員会の名称と所在地
(5) 治験審査委員会がGCP省令に従って組織され,活動している旨を治験審査委員会が自ら確認し保証する旨の陳述
8 治験審査委員会は,承認済の治験について,実施期間内の軽微な変更の承認が必要な場合には,迅速審査により治験審査委員会としての決定を行うことができる。迅速審査の対象か否かの判断は委員長が行う。迅速審査の対象となるのは,治験の実施に影響を与えない範囲で,被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく,被験者への危険を増大させない変更とする。この場合の採決は,委員長のほか委員長があらかじめ指名する委員1名が,提出された資料の内容を確認及び検討し,決定する。ただし,当該治験の治験依頼者と関係のある委員及び当該治験責任医師と関係のある委員は,その関与する治験についての採決には参加できないものとする。委員長がこれに該当した場合には,委員長があらかじめ指名する委員2名が決定するものとする。迅速審査により決定された内容は,次回の治験審査委員会に付議されなければならない。

(治験審査委員会事務局の業務)
第10条 治験審査委員会事務局は臨床研究開発センターに置き,委員長の指示により,業務を行うものとする。

2 治験審査委員会事務局は次の各号に示すものをウェブサイト等適宜の方法により公表する。
 (1) 委員会規程
 (2) 委員名簿(各委員の所属・職業及び資格を含む。)
 (3) 会議の記録の概要
 (4) 治験審査委員会の開催予定日

3 本条前第3号の会議の記録の概要については治験審査委員会の開催後2か月以内を目途に公表する。ただし、治験依頼者等より、会議の記録の概要に知的財産権を侵害する内容が含まれていないか事前に確認したい旨の求めがあった場合には、求めに応じるとともに、必要があればマスキングなどの措置を講じた上で公表するものとする。

4 前2項の業務のほか、治験審査委員会事務局の業務は別に定める。

(記録の保存)
第11条 治験審査委員会における記録の保存責任者は臨床研究開発センター長とする。
2 治験審査委員会において保存する文書は次の各号に掲げるものとする。
(1) 取扱規程,医師主導型治験取扱規程及び内規、委員会規程
(2) 委員名簿(各委員の所属・職業及び資格を含む。)
(3) 病院長から提出された文書
(4) 会議の議事要旨(審議及び採決に参加した委員名簿を含む。)
(5) 書簡等の記録
(6) その他必要と認めたもの

(記録の保存期間)
第12条 治験審査委員会において保存すべき治験に関する文書は,次の各号に定める日のうちいずれか遅い日までの期間保存するものとする。
(1) 当該被験薬又は被験機器(以下「被験薬等」という。)に係る製造(販売)承認日(開発が中止された場合は,開発中止が決定された日から3年が経過した日)。ただし,製造販売後臨床試験にあっては,当該被験薬等の再審査又は再評価が終了する日
(2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 前項について,治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には,保存期間,保存方法及び保存経費について治験依頼者と協議するものとする。
3 治験審査委員会は,病院長を経由して治験依頼者より第1項の承認取得あるいは開発中止の連絡を,開発の中止等に関する報告書(取扱規程書式18及び医師主導型治験取扱規程(医)書式18)により受けるものとする。

附 則
1 この規程は,平成27年2月25日から施行し,平成27年2月1日から適用する。
2 三重大学医学部附属病院医薬品等受託研究審査委員会内規(平成16年4月1日制定)は,廃止する。
附 則
この規程は,平成28年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,平成29年11月8日から施行し,平成29年8月7日から適用する。
附 則
この規程は,平成31年4月1日から施行する。

附 則
この規程は,令和2年4月1日から施行する。

 

改訂の履歴

2020年4月1日(最新版)
2020年4月1日(変更対比版)