MENU

研究紹介

研究内容

はじめに

研究室写真

当科は成人および小児の消化管疾患を対象とし,治療を行っております。おもに食道癌,胃癌,大腸癌などの消化器癌治療,炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療,小児における先天性消化器疾患の治療を行っています。

消化器癌治療においては,早期例では根治性を維持した低侵襲な鏡視下手術を施行しており,一方,進行例では,手術療法,薬物治療(抗癌剤や抗炎症薬など),放射線治療などを総合的に駆使し,根治性と機能温存のバランスのとれた集学的治療を行っております。また,炎症性腸疾患においては,内科的治療困難症例に対し適切なタイミングで個々の患者に適した外科手術を行っております。

このように複雑化した治療を行う場合,科学的根拠に基づいた治療の実践が要求されます。いわゆる‘Academic Surgeon’として社会に貢献するには,手術手技の向上はもちろん,個々の患者の治療経験を検証し,より良い治療法を創出していくことが必要です。そして,臨床および基礎研究は,この‘検証と創出’に必要不可欠と考え,日々研鑚を積んでいます。

当科では,通常診療で得られた臨床情報をもとに行う臨床研究や,トランスレーショナル・リサーチ(橋渡し研究)といわれる臨床検体を用いて臨床データと統合解析を行うほか、その機能解析を行う研究を行っています。すなわち,臨床成績の詳細な解析によって問題点を抽出し,治療成績向上のために必要な診断・治療・予防法の開発あるいは改善に役立つ臨床および基礎研究を行っています。この臨床研究・橋渡し研究を遂行することで,新しい治療方針を変更しうるバイオマーカーや新たな治療法を確立し,アカデミアとしての大学病院の使命を果たすとともに,三重大学発のエビデンスを世界に発信し、医学に貢献したいと考えています。

外科手術では治癒困難な病態の検証と新しい治療法創出のために我々が取り組んでいる研究課題

  1. 食道癌・胃癌・大腸癌などの消化管悪性腫瘍に対する早期診断マーカー探索,転移再発予測およびその制御を目指した新規バイオマーカー開発
  2. 炎症性腸疾患関連大腸癌を診断・予測するあたらな非侵襲・低侵襲バイオマーカーの開発
  3. 炎症性腸疾患の新たな個別化医療につながるバイオマーカーの開発と新たな治療法の開発
  4. 担癌宿主に焦点を当てた臨床指標を用いた新規バイオマーカーの開発
  5. 担癌宿主におけるあらたな支持療法の開発
  6. Hirschsprung病や胆道閉鎖症などの小児外科で扱う新生児疾患の病態解明と新たな診断・治療法の確立(図1,2)

分子生物学的手法を用いたアプローチ

血液あるいは組織サンプルからDNA,RNA,タンパクの抽出を行い,遺伝子,分子レベルで解析します。

  1. 消化器癌早期診断,治療最適化のための新規バイオマーカー検索,同定
  2. タンパク・遺伝子発現・エピゲノム・ゲノム変化に基づいたがん薬物療法および放射線感増強効果の分子生物学的解析
  3. 炎症性腸疾患関連癌発症予測、手術治療最適のための新規バイオマーカーの開発
  4. 神経芽腫などの小児悪性腫瘍治療最適化のための新規バイオマーカー検索,同定

臨床へのフィードバックを目指して

腫瘍中のDNA,RNA,タンパクを抽出し,細胞の癌化・転移に関係する特にエピゲノム(DNAメチル化やRNA修飾・非翻訳RNAなど)の変化を探索し,それにより修飾される遺伝子発現,タンパク発現の臨床的意義の検証と,その機能的意義を細胞実験,動物実験(さまざまな病態のモデルマウスを用い,形態変化を解析する)で再現します。
さらに血清,血漿中のcell-freeの核酸,タンパクを抽出し,上記で検証された候補methylation,microRNA,タンパクを定量することで癌治療の最適化,癌診断,病態早期診断に応用可能なマーカーを探索し,臨床応用に挑戦しています。
また,臨床および基礎研究を通して得られた新知見は,論文という形に残し,世の中に発信していける努力も日々行っております。

三重大学大学院 消化管・小児外科での臨床研究に関する告示

臨床研究により新しい治療法を確立することは大学病院の使命でありますが,患者様のご協力によりはじめて成し遂げることができるものです。消化管・小児外科では,治療時に学術研究に対する説明を担当医が行い,同意していただける方には「学術研究に対する説明書および同意書」に署名をしていただいてきました。これまでに当科で治療を受けられた患者様で下記に記載されている臨床研究への同意を撤回したいと思われる方は,以下に連絡をお願いいたします。

また人を対象とする医学系研究におきまして、診療情報を利用させていただくことがあります。このような場合、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に基づき、対象となる患者様から直接同意を頂く代わりに、研究に用いられる情報の利用目的を含むその研究についての情報を公開し、研究が実施されることについて患者様(ご家族を含む)が拒否できる機会を保障することが必要とされています。

ご自身(ご家族を含む)の診療情報を研究に使用してほしくない場合は、オプトアウト拒否通知書(様式)にご記入の上、来院時に病院受付にご提出、あるいはご郵送いただければ幸いです。また、研究の内容についてお知りになりたいことがある場合にも、各研究の情報公開文書に記載されている「お問い合わせ窓口」へご連絡下さい。

臨床研究および情報公開 情報公開文書一覧

同意を撤回された場合でも,不利な取り扱いを受けることはありませんし,これまでどおり適切な治療を受けることが出来ます。

連絡先

〒514-8507 三重県津市江戸橋2-174
三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻 臨床医学系講座 消化管・小児外科学
研究責任者:問山裕二 研究分担者:奥川喜永
電話:059-232-1111(内線5645) FAX:059-232-6968 E-mail:gipsurgdummy@med.mie-u.ac.jp