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研修医・医学生のみなさんへ

先輩メッセージ

小児外科 長野 由佳

もともと小児医療に携わりたいと思っていた私は、臨床実習で小児外科という分野に触れて興味を持ちましたが、当時は身近に子育てしながら外科医として働く女性医師はほとんどおらず、外科系は内科系以上に出産・育児で臨床を離れる影響があるのではないかと不安がとても大きかったように思います。しかし、「男性でも研究や留学で臨床を数年離れることはよくあるから大丈夫」と先輩医師に言っていただいたこともあり、出産や育児を実際に経験した女性医師だからこそできるケアもあるのではないかと考え、小児外科医になることを目指して消化管・小児外科への入局を決めました。

研修医として大学病院で2年間研修後に入局しましたが、外科的なケアだけでなく成長発達といった小児科的フォローアップもきちんとできる小児外科医になりたいと強く思い、小児科研修の希望を伝えたところ、教授のご厚意で3年目の1年間は伊勢赤十字病院の小児科で研修をさせていただくことができました。この時に学んだ小児科診療の基礎や小児科の先生方とのご縁は、現在小児外科診療を行う上でとても役に立っています。4年目からは県立総合医療センターで一般外科の研修を行い、手術や周術期管理など外科の基本を学びました。5年目から大学院に入学したこともあって7月に大学病院へ異動となり、炎症性腸疾患、下部消化管、小児外科の各チームで計1年間臨床中心の研修を行いました。そして、6年目の7月より1年9か月間は研究を集中して学び、8年目より臨床にもどって希望していた小児外科チームで研修を開始しました。
7年目に外科専門医、8年目に博士課程の学位を取得することができました。また、プライベートでは、7年目に結婚し、外科専門医・学位取得後の9年目に出産しました。
出産後は約9か月間の育児休暇をいただき、10年目の4月から仕事に復帰しました。当初は慣れない育児で自分に余裕がなく、大学病院で勤務する自信がなかったため、院内保育施設を併設する療養型の関連病院である榊原白鳳病院で、常勤医として復帰させていただきました。そして、育児と仕事の両立に慣れてきた頃から、手術日を中心に月に数日、大学病院で研修させていただき、小児外科診療にも携わるようになりました。この期間は、療養型病院ならではの、入院から在宅への移行に伴う多職種連携、在宅リハビリテーションや日本の医療制度など、それまでの急性期病院ではなかなか集中して学ぶことのなかった「医療〜介護、福祉」の部分に携わることができ、とても良い経験となりました。

そして1年3か月経った11年目の7月より大学病院へ異動となり、小児外科チームの中で小児外科診療に従事させていただく日々を送りながら、現在に至ります。当科では主治医制ではなくチーム制をとっているため、フルタイム勤務ながら、子どもの保育園の迎えに間に合うように毎日定時で帰宅させていただいています。開催時間帯により出席したいカンファレンスやセミナーに参加できないこともあり、もどかしい気持ちになることもありますし、時間的な制約のためにチームの先生方にご迷惑をかけることも多々ありますが、今は家庭に比重をおくべき時期だと考え、勤務時間中は自分なりにできることに集中して取り組むようにして、日々温かく見守り、サポートしてくださるチームの先生方に感謝しながら、なんとか仕事を続けることができております。
医師の生活・働き方においても、ここ数年ワークライフバランスに関して議論される機会も増えたように感じます。それは、決して子育て中の女性医師だけの課題ではなく、男女問わず様々な状況下にいる全ての医師が解決に向けて取り組んでいくべき課題だと思います。
当科は、個々の状況や家庭環境、医師としての目標に耳を傾け、柔軟に対応してくれる医局ですので、興味のある方はぜひ一度見学にいらしてください。