小児のがん

肝腫瘍

小児のがんの中では、肝臓にできる腫瘍はまれな病気です。小児の肝腫瘍は、小児がんの中で1%程度のまれな病気です。日本国内でこの病気にかかる人は、年間50~70例程度です。
小児の肝腫瘍の80%以上は、肝細胞になるはずの未熟な細胞から発生した悪性腫瘍で、肝芽腫と呼ばれます。

発症年齢

発症年齢は低く、多くの場合3歳までに発症します。肝芽腫は、肝臓の外に広がることは少なく、70%程度の生存率が期待できます。一方、成人の肝細胞がんに近い小児の肝細胞がんは、通常は14歳を過ぎた子どもに発症します。全肝腫瘍の登録例中3~5%程度と発生頻度は少ないのですが、生存率は25%程度となります。
肝芽腫の発生リスクが高くなる場合として、Beckwith-Wiedemann症候群、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、出生体重1500g未満の低出生体重児が挙げられます。

治療

手術と化学療法からなる集学的治療に加え、患者さんによっては肝移植が必要です。三重大学医学部附属病院の小児科では、小児外科や肝胆膵移植外科と緊密に連携し、患者さんに最適な治療を提供できるように努めています。また、日本小児がん研究グループ(Japan Children’s Cancer Group; JCCG)の肝腫瘍委員会に所属し、小児がんを治療している全国の施設と協力して、世界標準の肝芽腫治療を提供しています。