皮膚

乳房外パジェット病

はっきりとした原因は分かっていませんが、汗を作る細胞が癌化し表皮の中で増殖する皮膚がんの一種です。例外はありますが、多くは表皮のなかでゆっくりと広がっていきます。表皮の中に腫瘍細胞が留まっている限りは表皮内がんと言われる状態で、転移の心配はありません。しかし、表皮から深部=真皮へがん細胞が入り込むと転移の危険性が生じます。

症状

陰部、脇の下、臍周囲、肛門周囲に良くできます。赤く、しめったような湿疹に似た状態が見られます。赤みだけでなく、茶褐色を呈したり、色が抜けたりする事もあります。見た目からは湿疹やたむしに間違われやすいですが、軟膏を塗っても良くなりません。時間が経つとビラン、皮膚のただれ、結節が生じることもあります。

治療

多くは表皮内に留まっており、治療は原則的に外科切除となります。できものの境界部が分かりづらい場合があり、そのような時は健常に見える部分などからも皮膚採取を行い病変の広がり具合を検査してから手術をします。切除により広範囲に皮膚欠損が生じることが多く、皮膚移植や皮弁などの再建術も行う必要があります。陰部から肛門にかけてできることが多く、排便機能に影響することが懸念される場合は消化管外科と合同で対応する事例もあります。病変が真皮に及んでいる場合はセンチネルリンパ節生検を行います。少数のリンパ節転移を伴っている場合は所属リンパ節郭清も考慮します。高度なリンパ節転移や遠隔転移がある場合は薬物治療を主体とした治療を行います。