小児のがん

横紋筋肉腫

横紋筋肉腫は、将来、骨格筋(横紋筋)になるはずの細胞から発生した悪性腫瘍で、筋肉などの軟らかい組織(軟部組織)から発生する悪性腫瘍としては小児で最も多くみられます。

発症年齢

横紋筋肉腫は子どもから大人まで発症しますが、年代別では、0歳から9歳までの小児に最も多くみられます。日本では、毎年50~100人の小児が横紋筋肉腫を発症しています。横紋筋肉腫の発生要因は、多くの場合は不明です。近年、一部の横紋筋肉腫の発生に、遺伝子の変異が関与していることがわかってきました。しかし、この突然変異がなぜ起こるのかは、まだよくわかっていません。横紋筋肉腫は、病名に使用されている横紋筋だけではなく、全身のあらゆる部位から発生します。特に、泌尿器や生殖器、傍髄膜や眼窩を含む頭頸部、四肢によくみられます。腫瘍が発生する部位により症状は異なります。

症状

一般に、腫瘍が発生した部位の腫れや痛みのほか、腫瘍の圧迫によって、眼球の突出、鼻血、頭痛、血尿、排尿の障害、便秘、腹痛など、さまざまな症状があらわれます。
筋肉は、横紋筋と平滑筋に分けられます。横紋筋は、さらに、骨格筋と心筋に分けられます。横紋筋のうち、骨格筋は骨格に付着し、体を動かすことを主な働きとし、自分の意思で動かすことができます(随意筋)。また、心筋は心臓の壁を構成し、心臓の収縮を主な働きとしており、自分の意思で動かすことはできません(不随意筋)。平滑筋は消化管や気道などの内臓や血管の壁にみられる筋肉で、心筋と同様に、自分の意思で動かすことはできません(不随意筋)。

治療

腫瘍が発生した部位に応じて、さまざまな診療科と連携します。例えば、頭頸部・鼻腔や喉頭であれば耳鼻咽喉科、四肢であれば整形外科、その他、小児外科、泌尿器科、婦人科、形成外科、皮膚科、脳神経外科など多くの診療科と関わることになります。横紋筋肉腫の治療は、手術・化学療法・放射線治療からなる集学的治療が必要です。三重大学医学部附属病院の小児科では、関連する多くの科と緊密に連携し、患者さんに最適な治療を提供できるように努めています。また、日本小児がん研究グループ(Japan Children’s Cancer Group; JCCG)の横紋筋肉腫委員会との連携のもと、小児がんを治療している全国の施設と協力して、世界標準の横紋筋肉腫治療を提供しています。