小児のがん

腎腫瘍

小児の腎臓内にできる腫瘍の約90%は胎生期の腎芽細胞由来の腎芽腫あるいはウィルムス腫瘍と呼ばれる悪性腫瘍で、3歳前後に多く発症します。ウィルムス腫瘍の大半は、治療によく反応する予後のよいがんです。米国に比べ、日本における発生頻度は低く、年間70~100例程度と推測されています。
ウィルムス腫瘍は、異常な遺伝子によって引き起こされる疾患(遺伝子症候群)の一部として発生することがあり、先天異常がある場合にも、発症リスクが高くなる可能性があります。ウィルムス腫瘍との関連性が明らかになっている遺伝子症候群や先天異常には、WAGR症候群、Beckwith-Wiedemann症候群、Denys-Drash症候群などがあります。

治療

手術と化学療法からなる集学的治療が必要です。三重大学医学部附属病院の小児科では、小児外科と緊密に連携し、患者さんに最適な治療を提供できるように努めています。また、日本小児がん研究グループ(Japan Children’s Cancer Group; JCCG)の腎腫瘍委員会に所属し、小児がんを治療している全国の施設と協力して、世界標準の治療を提供しています。