たか子の部屋
このコラムは緩和ケアチーム医師のつぶやきの場所です。臨床現場で出会った素敵なエピソードを紹介したり、日々の緩和ケアの実践で気づいたこと、考えたことをつづります。
年度替わりに思うこと~潮の満ち引き
春は、出会いと別れのシーズンと言います。緩和ケアセンターも冬から春にかけて看護スタッフがずいぶん変わりました。長年一緒にやってきた方が異動になるのはものすごく寂しいものです。しかし、新しく異動になった方との出会いもまた新鮮で学びが多いと感じます。一年があっという間だなと強く思うようになったのは、自分が年を重ねているからなのだろうと思います。
先日遠出をする機会があり、道中の空き時間に厳島神社を訪れることができました。これまでに修学旅行や出張など何度もで訪れたことがあったのですが、いずれも干潮の時間帯で、鳥居まで歩いて行くことができました。いつしか満潮時に海に浮かぶ鳥居を拝みたいと思うようになりました。潮位を調べ、スケジュールを調整し、普段よりもかなり早起きをして、ようやく50年来の願いが叶いました。海に浮かぶ形で厳かにたつ本殿、回廊などをじっくりと時間をかけて回らせてもらいました。なんとなく過ぎていく時間の中であれば、「ああ、やっぱり今回もだめか・・・」と思うことも、なんとか叶えたいと殊更に努力すること、そしてそれが叶ったときの達成感は何事にも代えがたいものだと実感しました。潮の満ち引きという個人のレベルではなんとも変えられないものも、個人で変えられるものを変えることで叶う思いはあるのだと思いました。
