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業務

薬効評価解析室

 薬効評価解析室では、薬物血中濃度を測定し、臨床症状や検査データを参考にして治療効果や副作用を評価・解析しています(Therapeutic Drug Monitoring:TDM、治療薬物モニタリング)。

 薬物血中濃度は、同じ投与量であっても、年齢や体重、腎機能などの臓器機能の影響を受けるため、患者さん毎に異なります。安全域や有効血中濃度域が狭い薬物においては、これらの個人差が副作用をもたらすこともあり、血中濃度をモニタリングすることは、安全で効果的な治療を提供するために重要です。

 薬効評価解析室では、得られた血中濃度から、薬物の体内での挙動(薬物動態)に影響を与える因子などを、総合的に評価し、治療評価項目(抗生物質では細菌培養、発熱、炎症所見など)やそれぞれの薬の副作用項目も含めて今後の投与計画を立案し、医師に治療計画を提案します。
特に、入院患者さんのTDMは、病棟担当薬剤師が担当することで、患者さんの発熱や尿量などの身体所見や投与状況の確認などをおこないながら、多職種が参加するカンファレンスで治療方針を共有し、総合的な薬物投与計画のサポートが可能となっています。

 薬効評価解析室で血中濃度測定、評価解析を行っている薬剤は14種類です(2021年3月現在)。

■免疫抑制薬:タクロリムス、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル
■抗菌薬:バンコマイシン、テイコプラニン、アルベカシン、ゲンタマイシン
■抗てんかん薬:バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン
■抗がん薬:メトトレキサート
■ジギタリス製剤:ジゴキシン
■気管支拡張薬:テオフィリン

 上記以外に、外部業者へ血中濃度測定 を委託し、薬剤部で評価解析を行っている薬剤として、免疫抑制薬(エベロリムス)、抗真菌薬(ボリコナゾール)、抗不整脈薬(アミオダロン、シベンゾリン等)、抗てんかん薬(ラモトリギン等)、リチウム製剤(炭酸リチウム)等があります。

血中薬物濃度の測定

患者さんから採取した血液を適切に処理し、薬の種類に応じて測定可能な機器を用いて、血中濃度を測定しています。

測定結果の確認

測定結果が正しく得られているかどうか確認を行います。

測定結果の解析

得られた測定結果を用い、患者さんの臨床データや投薬歴等と共に評価・解析を行います。医師や病棟担当薬剤師と情報共有を行い、個々の患者さんの病態や病状に応じた投与計画を立案しています。

学生に対するTDM実習

医学部や薬学部の学生に対して、実例に基づいた教育も行っています。