三重大学総合診療ネットワークのブログ

お知らせ

【10/17 Journal Club】 患者中心性をテーマとする質的研究の質の評価

随分と報告の間が空いてしまいましたが、Journal Clubの報告です。

【発表者】市川周平 (地域医療学講座 助教)

【論文】Cambon B, Vorilhon P, Michel L, et al. Quality of qualitative studies centred on patients in family practice: a systematic review. Fam Pract 2016; doi:10.1093/fampra/cmw095.

【趣旨】総合診療領域で患者中心性をテーマとして行われた質的研究および混合研究で、データ収集にインタビューかフォーカスグループ、およびそれらを併用した研究について、その質を評価した。系統的レビューで52本の文献を抽出し、RATSを用いて研究の質を得点化した (21項目、0:報告なし/1:不十分な報告/2:十分な報告、合計で0点~42点)。平均値28、標準偏差5.2、IQRは24-31。データ収集の方法による得点の差はなく、質的研究は混合研究よりも得点が有意に高かった。掲載誌のインパクトファクターと得点との間に相関はなかった (r=0.20)。以下4項目は記載頻度が著しく低かった。(1) 研究に参加しなかった者の特徴とその理由、(2) データ収集の終了の妥当性、(3) 研究仮設の生成、データ収集、および結果の解釈への研究者の影響、(4) データの匿名性と機密保持。考察では、主にこの研究の方法論的な強みが論じられた。

【議論】質的研究と混合研究を比較することが公正か、議論になりました。発表者は、混合研究だからと言って質的部分の要求水準を下げる理由はないとの見解を示しました。また、この研究で評価したものが「研究の質」なのか「報告の質」なのかは注意が必要です。

【その他】総合診療領域で質的研究を行っている人、これから行おうとする人に、是非目を通して頂きたい文献です。

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