より安全で質の高い放射線科診療を目指して

Toward quality medical care

放射線科は、CT・MR・核医学などを用いた画像診断、画像誘導下の局所治療(インターベンショナルラジオロジー:lVR)および放射線治療を行う診療科です。画像診断と放射線治療の過去20年間における進歩は目覚ましく、画像診断は適切な治療方針決定に以前に増して重要な役割を果たしており、附属病院や関連病院における医療全体の質を支えています。またカテーテルを用いたがん・外傷・大動脈疾患に対するIVRや、切らずにがんを治す放射線治療は、臓器によっては手術と同等の成績を示し、低侵襲で生活の質を落とさずに治療できる方法として益々重要となっています。三重大学放射線科では、最先端の放射線科診療を安全に提供することを目指して診療や研究に邁進しています。また、当科ではAI(人工知能)と遠隔医療を積極的に取り入れております。AIは「結節を検出する」といった単純作業が得意です。しかし、放射線科医の仕事は画像を見て異常を見つけることだけではなく、画像の背景にある患者さんの病態を考え、各診療科に次の診療プロセスを助言することにあります。AIをうまく使いこなせば放射線科医の単純繰り返し作業の負担を軽減できますが、「AIによって放射線科医が不要になる」ことはありません。日本における人口当たりの放射線科医数は欧米の1/3と少なく、放射線科常勤医のニーズは全国的にここ数年非常に高くなっており、三重県でも同様です。放射線科医の重要性とやりがいをより多くの若い先生に知っていただき、放射線科専門医を目指していただければと心から願っています。

三重大学放射線医学 教授
佐久間 肇

教室の沿革

明治45年(1912) 津市立病院にX光線科設置
昭和15年(1940) 遠山豪 津市立病院 レントゲン科部長兼内科副部長就任
昭和18年(1943) 三重県立医学専門学校設置
昭和33年(1958) 田口光雄教授就任(初代)
昭和40年(1965) 心大血管・腹部血管造影開始
昭和51年(1976) 頭部CT(EMI CT-1000)設置
昭和54年(1979) 全身CT(AS&E)設置
昭和58年(1983) 山口信夫教授就任(2代)
平成元年(1989) MRI(GE Signa1.5T)設置
平成2年(1990) 中川毅教授就任(3代)
平成9年(1997) 竹田寛教授就任(4代)
平成24年(2012) 佐久間肇教授就任(5代)