MENU

研修医・医学生のみなさんへ

先輩メッセージ

消化管外科 山本 晃

私は医学生の頃より消化管外科を志していた事もあり、初期臨床研修は関連病院の三重県立総合医療センターに就職し、約4年間、同センターで初期研修と後期研修をおこないました。初期研修、後期研修の期間に、消化器外科(+乳腺)領域に加え、胸部外科での研修により、心臓・大血管、呼吸器、末梢血管領域の手術経験をさせていただき、外科専門医所得への必要症例数を満たすことができました。消化器外科専門医所得のための必要症例数を経験するという個人的な目標には至らず、医師5年目の時点で大学病院に勤務地が変わる形になりましたが、熱心に指導してくださる先生方のもとで数多くの症例を経験できたこの研修期間は、今後の私の外科医としての基礎をつくる重要な期間であったと考えております。

医師5年目に大学院生として大学病院勤務となり、炎症性腸疾患、小児外科の各グループを計1年にわたりローテーションし、前任地であまり経験することのなかった、大学病院ならではの症例を経験しました。その後医師6年目から2年ほど研究に従事したのち、今後は再び病棟勤務にもどり、上部消化管外科、下部消化管外科の各グループをローテーションする予定になっております。2年にわたる研究期間中には、症例報告、臨床データをもとにしたclinical research論文のみならず、遺伝子発現などの要素を加えたtranslational research論文の作成にも取り組みました。こういった経験が、今後の臨床経験の中で抱く様々な疑問に対する論理的なアプローチを構築する為の礎になり、疑問に対する自身の考えを世界に発信するツールとしての論文投稿・学会発表という形につながるものと考えております。比較的若い学年のうちから学術に触れる機会がある、というのも当科の特徴のひとつと言えるのではないでしょうか。

とにかく手術がしたい、と医学生のころに描いていた外科医像とは少し異なる形にはなっていますが、oncologyを扱ううえで、手術だけでは治しきれない症例への対応は避けては通れない道であり、研究期間の経験を踏まえ、新たな知見に立ち、新たな治療戦略を探索することも、外科医としての重要な使命であると現在は考えております。医師6年目からの2年間、臨床を離れた現時点では、同世代の外科医に比べ手術手技が劣るのではないかと不安に思うこともありますが、手術において最も重要なものは経験ではなく知識であると自分に言い聞かせ、次は手術手技の習得・向上にむけて精進する所存です。外科医を志しながらも、手術のみならず、学術的研究にも興味ある方はぜひ一緒に学んでいけたらと思います。