ネットワークの定義、目的と活動

総合診療と家庭医療学

まず、総合診療って何なの、と思われる人もいるかもしれません。総合診療は地域住民のニーズにこたえる医療で、その答えを地域住民が持っている医療です。
活動の多くは中小病院の勤務医、または診療所の医師です。「総合診療」が診療所の医療と思われている方も多いのですが、日本においては医療のフリーアクセスのシステムがあるため、「総合診療」は診療所のみならず、中小病院や大学病院のような大病院にても必要とされています。
一部に病院において行われる医療については「病院総合医」の語句を充てる人たちもいます。
世界では「家庭医療」の語句が使われていますが、日本では厚生労働省による専門医の在り方検討会にて「総合診療」の語句を使うように推薦されこの語句が使われ始めています。
研究や教育を強調する場合、日本においては「家庭医療学」の語句が使われております。
日本においてはまだ、「総合診療医学」という言葉は一般的ではありません。したがって三重大学医学部附属病院やその他の関連施設での診療科名は「総合診療科」と使っていますが、三重大学大学院の医学系研究科臨床医学系講座家庭医療学分野では「家庭医療学」を使っています。
英語名は病院での総合診療科も大学院の家庭医療学も同じくDepartment of Family Medicineを使っています。
総合診療をそのまま英訳するとGeneral Practiceとなるのでしょうか、General Practiceは英国系のgeneral practitioner(いわゆるGP)を想起させ、海外の人たちはこのネットワークが診療所での活動のみを対象としているように思われるかもしれません。
それよりも米国で使われているFamily Medicineが診療所での診療のみならず、病院の病棟、救急外来での活動も含んでいるように認識されると思われるからです。このネットワークは、この総合診療・家庭医療学の研究、教育、診療の各分野をバランスよく活発に実施しております。

三重大学総合診療ネットワークとは

このネットワークには、総合診療の教育・研修・研究を行うフィールドのすべてを含んでいます。大学には、総合診療にかかわる教育や研究を行う「三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座家庭医療学分野」、とくに総合診療の教育者(教員や指導医)や研究者を育成する「大学院医学系研究科地域医療学講座」、また、三重大学附属病院にて総合診療の臨床などを行う「医学部附属病院総合診療科」があります。上記、3つの施設とも、かなりのオーバーラップがあり、一体となって総合診療の教育、研究、診療にあたっています。

一方、地域で活躍する総合診療医は大学内のみでは教育や研究ができないので、大学外に「医学部三重県総合診療地域医療学講座」、「医学部亀山地域医療学講座」、「医学部名張地域医療学講座」などがあります。これらは、地域の基幹的病院にあり、教員が配置されています。特に三重県総合診療地域医療学講座は、三重県全県を対象に、総合診療の教育や研究を行う講座となっています。

総合診療にかかわる後期研修については、2014年以前に医学部・医科大を卒業した医師を対象とした「三重大学家庭医療学プログラム(ver2)」、2015年以降に卒業した医師を対象とした「三重大学総合診療専門研修プログラム(ver3)」があります。

上記のすべてを含めて、「三重大学家庭医療学・総合診療ネットワーク」、略称として「三重大学総合診療ネットワーク」が構成されています。

ネットワークの目的

『三重大学総合診療ネットワークは、日本を主とした世界中の地域住民が健康で笑顔あふれる生活を送れるように、研究によって効率的な家庭医療学・総合診療の在り方を探求し、また、教育・研修によってそのような家庭医療学・総合診療を住民に提供できる医師などの医療従事者を育成することが目的である。さらに、それらの医療従事者を教育・指導できる人材や家庭医療学・総合診療に関わる研究を実施できる人材の養成も行う。』

ネットワークの活動

三重大学総合診療ネットワークは、以下のすべての活動を行っています。

  1. 三重大学を中心とした医学生への家庭医療学・総合診療の教育
  2. 三重大学初期研修プロムグラムなどの初期研修医への総合診療の研修指導
  3. 三重大学家庭医療学プログラム(ver2)、三重大学総合診療専門研修プログラム(ver3)の後期研修医への家庭医療学・総合診療の研修指導
  4. 地域で活躍する医師への指導医養成教育、および生涯教育の実施
  5. 医学生、初期研修医、家庭医療・総合診療の後期研修医、または総合診療医とともに活動する多職種医療従事者を効果的に育成できる教員や指導医の養成
  6. 総合診療医とともに地域で効果的に活動できる多職種医療従事者を育成するために、多職種学生や多職種医療従事者を育成
  7. 家庭医療学・総合診療に関わる研究を実施できる人材の育成
  8. 地域住民が健康で笑顔あふれる生活を送れるような総合診療学・家庭医療の在り方の探究など、家庭医療学に関わる調査研究を実施
  9. 家庭医療学・総合診療の教育や研究のために、総合診療の診療活動を行う。
  10. 地域住民が健康で笑顔あふれる生活を送るために必要な医療などのシステムを明らかにして、そのようなシステムを地域に構築
  11. 三重大学総合診療ネットワークで得られたエビデンスや教育カリキュラム、教育システムを、全国、さらには全世界に波及