小児科紹介

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三重大学小児科について

三重大学小児科の特色 —今に受け継がれる伝統—

三重大学小児科の特色 今に受け継がれる伝統

三重大学小児科では昭和31年井澤道教授の着任以降、櫻井實教授駒田美弘教授、そして平成28年1月就任の平山雅浩教授の4代、50年以上にわたって、小児血液腫瘍の診療・研究を活動の中心に置き、国際的にも活躍できる専門医療を推進する人材の育成をはかってきました。これらの活動が認められ、平成25年2月に三重大学病院は全国15施設の「小児がん拠点病院」に指定されました。また、当科は現在全国規模の小児白血病治療研究の診断センター、小児がん経験者の長期フォローアップ拠点施設及び日本骨髄バンク移植認定施設としての役割を果たしています。
一方、血液腫瘍領域以外の診療・研究も充実しています。小児循環器グループは、診療においてカテーテルインターベンションを数多く施行するとともに、基礎研究では川崎病の冠動脈病変や肺高血圧をテーマに、質の高い研究を行っています。更に、新たな取組として小児トータルケアセンターを設置し、医療的ケアを必要とする子どもとご家族の緩和ケアを含む在宅医療支援活動を多機関・多職種と連携し実施しています。また、アレルギー、感染症・ワクチン、神経、腎臓及び代謝内分泌の各疾患分野では国立病院機構三重病院と、周産期新生児領域では国立病院機構三重中央医療センターと連携し、先進的な取り組みや人材育成を行っています。三重病院、三重中央医療センターの両臨床研究部は、三重大学大学院の連携大学院としての機能を備えており、これらの病院での診療・研究活動を通じて、各専門領域の専門医だけでなく学位(医学博士)取得も可能にしています。

優れた小児科医の育成

優れた小児科医の育成

我々の最も重要な使命のひとつとして優れた小児科医の育成が挙げられます。一人前の小児科医を育てるためには、専門領域の研修だけでなく、幅広い一般小児科の研修が極めて重要であり、当院と関連施設での勤務を通じて小児科専門医試験の合格に必要かつ十分な研修が可能となっています。
当科の教育上の特徴は学術性、国際性及び人間味にあります。学術性という点では臨床研究にとどまらない活発な基礎研究とトランスレーショナルリサーチの推進があげられます。研究活動には科学的・論理的思考の養成、科学者としての視野の拡大、更には医学の進歩への貢献という効果があることから、若い医師たちが積極的に研究を行える体勢にあります。国際性という点では欧米だけでなくアフリカ諸国などの開発途上国の高等教育機関や医療機関との積極的な交流を行っており、小児科研修医に海外研修を積極的に勧めています。人間味という点では診療や研究活動での権威主義を排除し、教授から研修医・学生まで、同じ目線でリベラルに議論できる雰囲気を大切にしています。人材育成においては、よき伝統は大切にするとともに、悪しき慣習や偏狭な経験による思い込み教育は排除し、教育研修を受ける側が納得し、大きな成果を得られる教育指導の実践を心がけています。

小児科のサブスペシャルティ

小児科のサブスペシャルティ

3年間の小児科新専門医研修を経て、小児科専門医を取得した後、さらに小児科のサブスペシャルティ分野の専門医を継続的に取得することも可能にしています。小児科専門医を取得した医師が、自分自身のサブスペシャルティ分野を持って研鑽を積み、サブスペシャル専門医を取得することは大切なことです。すでに、神経、アレルギー、新生児、血液、感染症、腎臓、内分泌などの専門医研修システムは確立されています。三重県内の病院はほとんどの各サブスペシャル専門医取得の認定教育施設となっています。その上でさらに県外の専門研修施設と連携を取り、より質の高い研修につなげています。将来、三重県の小児医療の向上のため、サブスペシャリストとしての技能を十分に発揮されることを期待しています。

三重県の小児医療体制 —三重こどもメディカルコンプレックスを中心に—

三重こどもメディカルコンプレックス 三重県津市内の三病院が提携した三重こども病院

三重県には独立した医療施設としての「こども病院」はないが、津市内に3つの施設で「三重こども病院」を形成しています。三重大学附属病院(血液腫瘍、循環器)、国立病院機構三重病院(アレルギー、感染症、神経、腎臓、代謝)、国立病院機構三重中央医療センター(新生児医療)、およびそれらに附属する基礎研究施設からなる「三重こどもメディカルコンプレックス:Mie Children’s Medical Complex(MCMC)」があります。3つの医療施設の小児医療と研究部門が小児科のサブスペシャルティ分野の専門診療および基礎医学研究を分担することにより、「こども病院」としての診療・教育・研究機能を果たすという全国でも類を見ない体制が整っています。

少子化や情報化が急速に進む現代社会において、将来を担う子どもたちの健やかな育成は重要な課題であり、小児科医の担う責務は、今後より一層大切なものとなってきています。さらに、情報の氾濫、環境破壊、都市化の進行等、子どもたちを取り巻く生活状況はめまぐるしく変化し、非行、虐待、いじめ等が大きな問題となっています。小児科医には、すべての子どもを一人の人間として認め、子どもたちの代弁者としての役割を果たすことが求められており、三重県の小児科医はそれらを実践しています。

国際研修

三重大学小児科学教室同門会である「白圭会」の協力により、医学部学生や若手小児科医に対する援助として小児科医育成基金が設けられています。三重大学医学部が学術協定を締結しているミシガン小児病院、上海交通大学医学部小児科、上海小児医療センター、ムヒンビリメディカルセンター小児科(タンザニア)、ザンビア大学医学部小児科等への臨床研修費用を賄うことが可能となりました。多くの小児科医が国際感覚を持ちながら、広い視野で日々の診療活動を行っています。また、海外から、多くの医学部学生、臨床医、あるいは研究者が訪れ、学ぶ機会が増え、臨床診療、基礎研究両分野での国際交流がますます盛んになっています。