骨髄系腫瘍

骨髄増殖性腫瘍 (MPN)における遺伝子変異の検討

当科では三重大学医学部附属病院オーダーメイド医療部の協力を得て、MPNにおけるJAK2V617F、JAK2 exon 12、CALR exon 9、MPL exon 10の遺伝子変異の有無をquenching probe法や、特異的なプライマーで増幅したPCR産物を用いたSanger sequencing法で検出し、血栓症や出血、病型移行を含めた臨床病態ならびに血小板機能を中心とした止血血栓マーカーとの関連性について研究を行っている。
また、MPNの約10%を占める、上記遺伝子変異のいずれも認められない、いわゆるtriple-negativeの症例における新規遺伝子変異解析とその病態検討も行っている。

好酸球増加症候群/慢性好酸球性白血病における新規融合遺伝子検索とその病態の解明

好酸球増加症候群/慢性好酸球性白血病の約20%の症例には、FIP1L1-PDGFRAの融合遺伝子が存在し、過去にPDGFRA関連の融合遺伝子としては他に5種類が報告されていた。
我々は好酸球増多を伴う骨髄増殖性腫瘍において、7番目のPDGFRA関連の融合遺伝子であるFOXP1-PDGFRAを発見した。FOXP1-PDGFRAはリンパ球系細胞には存在せず、骨髄球系細胞のみに存在することから、この症例の起源はcommon myeloid progenitorレベルにあると考えている。