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遺伝子検査室

遺伝子関連検査は先天性遺伝子異常を検索するだけでなく、病原体(ウイルス、細菌など)の検出や、がん細胞における特異的遺伝子異常の検出、薬剤代謝に関連した遺伝子解析によって治療薬の副作用予測や投与量選択にも利用可能とされています。

遺伝子検査は大きく3つに分けられます。

ヒト以外 病原体遺伝子検査 ヒトに感染症を引き起こす外来性の病原体(ウイルス、細菌)の核酸(DNA、RNA)を検出、解析する。
ヒト 遺伝しない 体細胞遺伝子検査 癌細胞特有の遺伝子異変や発言異常を解析する。
遺伝する ヒト遺伝学的検査 単一遺伝子疾患、多因子疾患、薬物等の効果・副作用・代謝、個人識別等を解析する。

当遺伝子検査室では次の遺伝子検査を実施しています。

病原体遺伝子検査
  • B型肝炎ウイルス
  • サイトメガロウイルス、EBウイルス、BKウイルス、アデノウイルス、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)
  • SARS-CoV-2
  • ヘリコバクター・ピロリ など
体細胞遺伝子検査
  • 造血器腫瘍関連遺伝子
  • 網羅的がん遺伝子検査:(MiLaI、ミライ) など
ヒト遺伝学的検査
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 筋チャネル病
  • 家族性大腸腺腫症
  • フォンヒッペル・リンドウ病
  • ミトコンドリア遺伝病
  • 薬剤関連遺伝子
  • 遺伝性腫瘍の網羅的遺伝子解析 など

遺伝子検査はどのように行われるの?

  1. 1.サンプル
  2. 2.DNA抽出
  3. 3.DNA増幅
  4. 4.検出・解析

1.サンプル

血液、体液、組織など様々なサンプルが届きます。DNAは保存条件によっては安定しているため、過去のパラフィン包埋切片、凍結生検材料なども届きます。ヒト遺伝学的検査のサンプルは匿名化されて届きます。

2.DNA抽出

サンプルからDNAまたはRNAの抽出を行います。
サンプルの種類によって方法が異なります。
最近では、装置を用いて自動で抽出できるようになってきました。

DNA抽出

3.DNA増幅

抽出されたDNAはそのままでは解析に必要な量に満たないため、増幅して解析のために十分な量を得るための増幅が必要です。一般的な増幅法としては、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)が知られています。PCR法はDNAの中から、必要な配列を含む一定の長さのDNAを増幅する方法です。

DNA増幅

4.検出・解析

増幅されたDNAは、一般に蛍光染色などの方法によりラベル化されたDNAを光学的測定により検出する方法が用いられています。

また、一度に多くの遺伝子を調べることができる装置もあります。

  • マイクロアレイ

    薬物代謝酵素に関する遺伝子や、遺伝子マーカーを1枚のアレイで網羅的(225遺伝子上の1936個の薬物マーカー)に測定可能です。得られた薬剤応答性の個人情報に基づき、ファーマコゲノミクスの臨床応用に向けた研究を促進します。

    マイクロアレイ

    マイクロアレイ

  • 次世代シークエンサー

    数千から数百万ものDNA分子を同時に配列決定することができます。また、複数個体を同時に配列決定できるなど高度かつ高速な処理が可能であることから、個の医療、遺伝性疾患、および臨床診断学といった分野で活躍しています。

    次世代シークエンサー

    次世代シークエンサー

遺伝子検査の有用性

癌の診断 治療効果のモニタリング 抗癌剤の効果予測
白血病などの造血器腫瘍の病型の確定診断、モニタリングに用いられます。また、肺癌など同じ臓器の癌であっても遺伝子異常のパターンは、分子標的抗癌剤は効果が異なります。副作用、経済的負担を減らすために有効です。
ファーマコゲノミクス 薬剤の副作用予測 薬剤の適正投与量の予測
薬剤の効き目には個人差があります。この個人差を遺伝子検査によって予測すれば、薬剤の投与量を個人にあった量に加減でき、また、副作用も防ぐ事が出来ます。
遺伝性疾患の診断 遺伝性疾患の発症予測
親から受け継いだ1つの遺伝子の異常で起きる病気(血友病や筋ジストロフィーなど、それ以外にも多くの病気があります)の診断には遺伝子検査が有用です。
また、複数の遺伝子と生活環境の影響で起こる多因子疾患(例えば糖尿病など)の発症予測にも用いられます。
疾患の遺伝的素因診断
遺伝的素因をもつと遺伝性疾患ほどではないですが、他の人に比べて病気になりやすくなります。遺伝的素因を持つ人は喫煙や飲酒などの要員によって特定の疾患になりやすくなります。
将来、早期に診断し治療を開始するために遺伝子検査が行われるようになるかもしれません。

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